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多様な作品上映して11年目 阿倍野でドキュメンタリー映画祭

今年で11年目を迎える「ヒューマンドキュメンタリー映画祭《阿倍野》」。8月~9月開催に向けての意気込みを、総合プロデューサーの伊勢真一さんにうかがった。

同祭は、ドキュメンタリー映画監督の伊勢真一さんが中心となって、2003年に大阪・阿倍野でスタートした映画イベント。最盛期には4日間で8,000人の観客が訪れたという。大阪市からの助成が5年間で打ち切られた後も、市民ボランティアなどの有志によって毎年夏に開催されている。

今年は、8月30日(金)から9月1日(日)の3日間開催。阿倍野区民センター大ホールで、9本のドキュメンタリー映画作品が上映される。
総合プロデューサーを務める伊勢真一さんは、ドキュメンタリー映画監督としても活躍。毎日映画コンクール記録映画賞グランプリや日本映画ペンクラブ功労賞を受賞している同祭では、毎年上映する作品を選ぶ役割も担っている。


総合プロデューサーの伊勢真一さん

ドキュメンタリー映画という存在について、「テレビのドキュメンタリーと違い、ドキュメンタリー映画は『持続して撮りつづける』もの。観てすぐ忘れられていくのではなく、観た人の心にしっかり定着していくもの」だと伊勢さんは語る。今回は病気や震災に立ち向かう人たち、選挙の知られざる人間模様など多様な作品を取りそろえた。ドキュメンタリーはこんなに幅があるんだ、ということを知ってもらいたいから、だという。「堅苦しいものと思われがちだけど、“ドキュメンタリーは意外と面白いよ”ということも伝えたいんです」伊勢さんの思いが、ラインナップの多様さにも反映されている。
また被災地作品については「忘れないでと呼びかけても、マスメディアでは3月11日以外は取り扱わなくなってしまった」と話す。「その部分を、映画を観ることで、忘れないようにしてもらいたい。価値のある作品をちゃんと観てもらうことで、震災について改めて考えてもらいたい」と呼びかけている。


8月末開催を目指すスタッフたち(同祭事務局提供)

1日目の8月30日(金)は、「いのち」をテーマに開催。
脳幹出血で倒れた宮田さんが奇跡の復活をとげる様子を記録し、生きる喜びを描いた『僕のうしろに道はできる』(岩崎靖子監督)と、てんかんと知的障害を持って生まれた女の子の、家族との日々を12年間記録した『奈緒ちゃん』(伊勢真一監督)の2作品を上映する。

2日目は「にっぽん」がテーマ。「いろんな日本の姿を知ってもらいたい」との思いで、4作品を一挙上映する。
上映されるのは、東日本大震災の被災地・宮城県南三陸町の女子高生たちのひたむきに生きる姿を映した『うたごころ<2012年版>』(榛葉健監督)、2011年の大阪府知事選に挑む泡沫候補を描いた話題の映画『立候補』(藤岡利充監督)、ジャーナリスト界で伝説と語り継がれる報道写真家の姿を通して、戦後の日本の姿を浮き彫りにする『ニッポンの嘘 報道写真家 福島菊次郎90歳』(長谷川三郎監督)、監督の母親がアルツハイマーになったことから、母と向き合う生活を記録した『毎日がアルツハイマー』(関口祐加監督)。

映画『立候補』
映画『立候補』(C) 2013 word&sentence

3日目のテーマは「被災地から」。宮城県亘理町と福島県飯館村の被災後の姿を描いた2作品『傍(かたわら)~3月11日からの旅~』(伊勢真一監督)と、原発に翻弄される飯舘村を取材した『飯館村~放射能と帰村』(土井敏邦監督)、岩手・陸前高田市の木こり・佐藤直志さんが、津波に流された家を建て直そうとするたくましい姿を描いた『先祖になる』(池谷薫監督)の3本を上映する。

『飯館村~放射能と帰村』
『飯館村~放射能と帰村』(C)Takashi MORIZUMI
『先祖になる』
『先祖になる』(c)蓮ユニバース

また上映の合間や上映後には、監督たちがドキュメンタリー映画についての気持ちや思いを語る「ドキュメント・トーク」や、ライブコンサートも行われる。さらに同祭名物の一つである「ヒューマンドキュメンタリーコンテスト」も合わせて実施。全国から応募されてきたドキュメンタリー作品の中から、入賞作品を上映するとともに、最終日には表彰式を行い、最優秀賞作品を再上映する。

同祭は、8月30日(金)から9月1日(日)まで阿倍野区民センター大ホールで開催される。
多彩なドキュメンタリー作品と出会いに行こう。

詳細情報
開催日程 8月30日(金)~9月1日(日)
料金 前売1日券2,000円
当日1日券2,500円、3日通し券5,000円

開催場所 阿倍野区民センター
大阪市阿倍野区阿倍野筋4-19-118、TEL 06-4398-9877)

サイト ヒューマンドキュメンタリー映画祭《阿倍野》2013公式サイト
http://hdff.jp/
公式Facebookページ
https://www.facebook.com/hdff.jp
節目の10周年 阿倍野でドキュメンタリー映画祭【キネプレレポート】
http://www.cinepre.biz/?p=1661