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映画を追いかけたい。(シネ・リーブル神戸)

シネ・リーブル神戸からの寄稿です)

ついこの間年が明けたと思っていたら、あっという間にもう夏になってしまいましたね。皆様いかがお過ごしでしょうか。
三宮の旧居留地にある映画館、シネ・リーブル神戸です。
私どもの映画館は、いわゆるアート系とか単館系といわれる作品がメインのミニシアターという部類に入る映画館です。

突然ですが、皆さん映画はお好きですか?
嫌いという方はほぼいないと頑なに信じていますが、当館のスタッフたちはみんな映画が好きで映画を観まくっています。映画に囲まれて仕事をし、仕事が終わっても映画を観て帰り、休みの日も映画を観に来る。
これまでメジャーからミニシアターまで色んな映画館で仕事をしてきましたが、映画館で働く人たちは趣味嗜好の違いはあれ、やっぱり映画が大好きな人がホントに多いな~と思います。

かく言う私も小学生時代から映画が好きで、フラフラと灯りに吸い寄せられる羽虫のように映画の仕事に入りました。
映画に囲まれて、映画が観放題で、しかもお給料までもらえるというワンダーランドに晴れて入り込んだ学生時代の私は(勉強もせずに)ひたすら好きな映画を追いかけまわすという、文字通り夢のような映画ライフを驀進していました。

それから月日は流れ、相変わらず映画に囲まれて仕事をしてはいますが、ある時ふと気付きました。
「最近全然映画を追いかけていない・・」
立場も変わり、業務と責任は増え、映画を観るといえば仕事として観る試写ばかり。
映画をただ追いかけていればよかった時代はとうに過ぎ去り、いつの間にか逆に映画に追いかけられるように仕事をする私がいました。
「こんなはずでは・・・確か映画大好きだったはずじゃ・・・」
とジレンマを抱えて悶々としたりもしましたが・・・。

それも一瞬の事でした。
「でも面白いし、まあいいか」
という結論に結構あっさりと到達しました。
追いかけていようが、追いかけられていようが、映画が持つ魅力というか魔力というかそういう引力に捉えられてしまっているようで、喜んで盲従しております。

私の知っている限りでも、映画館に限らず映画に携わる仕事をされている方には、映画の求心力にとりつかれ、離れられなくなっている方が多いので、これからそのような仕事を目指している方は、ご用心を。
でもやっぱり、映画の仕事は楽しいですよ。
今は追いかけられる方に甘んじていますが、いつか形勢逆転してまた追いかけてやりたいです!

というわけ(?)で、皆様にもぜひ追いかけていただきたい作品をご紹介します!
『狂い咲きサンダーロード』(1980年)や『爆裂都市 BURST CITY』(1982年)で熱狂的な支持を得て、一躍ジャパニーズ・ニューウェイブの急先鋒となり、現在でも神戸芸工大学で教鞭をとる傍ら、『生きてるものはいないのか』など野心的な作品を発表し続ける、まさに映画を追いかけ続けるクリエイター、石井岳龍(ex聰亙)監督の最新作『シャニダールの花』です。
人の胸に寄生する世にも美しいシャニダールの花。花によってめぐり逢い、惹かれあった二人の運命と、その花が生まれた本当の意味とは―。
その多くのシーンを神戸で撮影して描き上げた独創的な映像美と、実力派俳優のミステリアスな演技が融合した、当館の夏映画イチ押し作品です!ぜひご来場ください!

シャニダール
『シャニダールの花』(c)2012「シャニダールの花」製作委員会
シャニダール
『シャニダールの花』(c)2012「シャニダールの花」製作委員会

「シャニダールの花」公式サイト
http://shanidar-hana.com/
7/20(土)よりロードショー!