被災後の陸前高田市で、壊された自宅を立て直そうとする木こりの男性の夢と生き様を描いたドキュメンタリー映画『先祖になる』が、第七藝術劇場、京都シネマ、元町映画館で上映される。
「これは震災映画じゃない」と話す池谷薫監督 |
「震災映画」の枠にとどまらない、人の勇敢な生き様を描いた作品がいよいよ関西に上陸する。
『先祖になる』(2012年、118分)は、ドキュメンタリー映画。岩手県陸前高田市で農林業を営んでいる佐藤直志さんの自宅が津波で破壊されてしまう。家族や近隣住民が避難する中、彼は木こりとして、元の場所に自分の家を建て直すことを決意。土地の人たちとの触れ合いの中で、数々の障害を乗り越えながら、果敢に自分の生き方を貫いていく様子を描いている。
(c)蓮ユニバース |
監督は、池谷薫さん。テレビ・ドキュメンタリー作品を数多く手がけた後に、ドキュメンタリー映画の世界に。中国の文化大革命に翻弄された父娘を描いた『延安の娘』(2002年)が国際的に高く評価されたほか、中国残留日本兵の悲劇をとらえた『蟻の兵隊』(2006年)がドキュメンタリー映画としては異例のロングランヒットに。
震災後、何かできることはないかと考えていた時、友人に「どうせ来るなら映画を撮りに来い」と言われ、映画作りを決意したという池谷さん。現地入りした中で佐藤さんと出会い、撮影を頼みこんだ。
佐藤さんについて池谷さんは「僕の頭の中のシナリオを超える人で、常に先を行っていました。だからこちらから『こういうシーンを撮りたいからこういうことをしてほしい』という要望を出したことはありません」と話す。
(c)蓮ユニバース |
『先祖になる』というタイトルは、佐藤さんが雑談で話した「この場所で自分たちが先祖になろう、ここからまた始めよう」という意味合いの言葉からとったという。
映画を作っている途中で「あ、これは震災映画じゃないな」と感じたという池谷さん。「もっと根源的な、生きるということの意味を切り取った映画になるなと思いました。今の私たちが忘れてしまったような人間の本質が、佐藤さんを見ることで思い出せる。そういうことを教えてくれる映画になっていると思います」と話した。
『先祖になる』は4月6日(土)から第七藝術劇場と京都シネマで、5月4日(土)から元町映画館でそれぞれ上映予定。
■予告編
■上映日程
・4月6日(土)~
第七藝術劇場、京都シネマ
・5月4日(土)~
元町映画館
■映画館
第七藝術劇場
(大阪市淀川区十三本町1-7-27 サンポードシティ6階 、TEL 06-6302-2073)
・京都シネマ
(京都市下京区烏丸通四条下る西側COCON烏丸3F、TEL 075-353-4723)
・元町映画館
(神戸市中央区元町通4-1-12、TEL 078-366-2636)
■サイト
『先祖になる』公式サイト
http://senzoninaru.com/