若松孝二監督の遺作『千年の愉楽』(中上健次原作)が、関西4館でいよいよ公開される。
佐野史郎さん(写真左)、高岡蒼佑さん(中央)、井浦新さん |
『千年の愉楽』は、芥川賞作家・中上健次さんの短編小説集を映画化した作品。和歌山県新宮市の「路地」と呼ばれる集落で、生まれ落ちた赤ん坊を長きにわたってとり上げつづけた産婆・オリュウノオバ(寺島しのぶ)。その彼女の視点から、女たちに愉楽を与え命の灯を燃やしつくして死んでいく、「中本」の血を継ぐ美しい男たちの生きざまを描いている。
監督は、『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』『キャタピラー』『11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち』などを手がけた若松孝二さん。体制への怒りを体現したような作風が特徴で、映画業界のファンも多い。今後の作品が期待されていたが、昨年交通事故で急逝したため、本作が遺作となった。
寺島しのぶさんと共演したのは、佐野史郎さん、高良健吾さん、高岡蒼佑さん、井浦新さん、山本太郎さん、原田麻由さんら。「若松組」とも呼べるおなじみの面々が、息の合った演技を披露している。
(c)若松プロダクション |
先日行われた合同記者会見には、佐野史郎さん、高岡蒼佑さん、井浦新さんが登場。
佐野さんは「若松監督には次回作の構想ももちろんいくつかあって、それが実現したらよかったのですが…」と口を開くも「でも、今作にも若松監督らしさは存分に詰まっていると思います。すごいいい時間を監督と共有できました。感謝しています」と振り返った。
高岡さんは「一緒の時間を過ごせただけでも良かったなと思います。最後まで監督の思いを伝えていきたい」と話した。
『実録・連合赤軍~』以降若松作品常連となった井浦さんは今回は少しの登場だったが、「若松監督とそのスタッフが現場に向き合う時の緊張感と、終わった後の充実感・達成感を今回も味わえました」と感無量に。最後に3人は「ぜひスクリーンで監督の思いを受け止めてください」と呼びかけた。
監督との思い出を語る3人 |
(c)若松プロダクション |
『千年の愉楽』は3月9日(土)以降、全国のミニシアターで上映される。
関西では3月9日(土)からテアトル梅田、第七藝術劇場、京都シネマで、3月16日(土)からシネ・リーブル神戸で。
急逝が惜しまれた映画監督の、情熱が込められた渾身の遺作。この機会にぜひ鑑賞したい。
■上映日程
3月9日(土)~
■映画館
テアトル梅田、第七藝術劇場、京都シネマ、シネ・リーブル神戸
■サイト
『千年の愉楽』公式サイト
http://www.wakamatsukoji.org/sennennoyuraku/
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