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杉野希妃主演『おだやかな日常』 関西3館で同時上映

福島原発事故後に訪れた変化を描いた映画『おだやかな日常』(2012年、102分)が、12月22日(土)からシネ・ヌーヴォ、京都みなみ会館、元町映画館で同時公開される。主演・プロデューサーは杉野希妃さん。


『おだやかな日常』主演の杉野希妃さん(場所はシネ・ヌーヴォ)

東日本大震災が東京に住む女性たちに与えた影響を、丁寧かつ大胆に描いた映画が、関西で上映される。

『おだやかな日常』は、福島の原発事故後、東京に住む女性2人の心情が変化し、いろんな行動に移っていく様を描いた劇映画。愛する子どもを守りたい一心でガイガーカウンターを購入し、幼稚園の庭の放射線量を図るサエコは、他の母親たちの反発を招いてしまう。一方、サエコの隣人のユカコは、放射能への危機感から仕事も手につかず、会社勤めの夫に転勤を主張するも軽くあしらわれる。だんだん孤立を深めていく2人がとった行動とは・・・という物語。

主人公のサエコを演じるのは、深田晃司監督作『歓待』(2010年)などに出演し、東京国際映画祭では特集上映が組まれるなど国際的な評価も高い杉野希妃さん。今作ではプロデュースもつとめている。相手役のユカコ役は、篠原友希子さん。来年夏公開予定の、芥川賞作家・田中慎弥さん原作『共喰い』(青山真治監督)にも出演している。

監督はぴあフィルムフェスティバルで審査員特別賞を2度受賞している内田伸輝さん。2010年には長編2作目の『ふゆの獣』で東京フィルメックス最優秀賞を獲得し、その他の映画祭にも多く招待されている。今作についての企画は、2011年6月ごろから動き出したという。

杉野希妃さんは、「震災後、被災地で撮られたドキュメンタリーは多く作られました。でも私たちは、福島から少し距離のある東京を描きたかったんですね。少し離れているからこそ、いろんな意見があり、対立していたりする。それをテーマに作品の形で訴えたかったんです」と話す。
震災というデリケートな話題を扱ったことについては、「震災の話を避けてしまうと、今後表現活動ができなくなる、というぐらいの気持ちで作りました。でももちろんまだ通過してはいなくて、現在進行形のこと。今後も私たちが背負っていかなければならない問題だと思っています」と今作にかけた覚悟を語った。

内田監督ならではのドキュメンタリーのような撮り方も、見どころの一つだ。出演者に感じたことを感じた通りに話させるほか、どもったり、言葉に詰まったりするところを作品の中に入れることで、よりリアルな空間を演出している。

『おだやかな日常』は12月22日(土)から大阪・九条のシネ・ヌーヴォ、京都みなみ会館、神戸の元町映画館で上映。22日(土)、23日(日)には、各館で杉野希妃さんの舞台あいさつも行われる(詳細は各映画館ページを参照)。

■予告編

■上映日程
12月22日(土)~
終映日、休映日は各映画館のページを参照

■映画館
シネ・ヌーヴォ
(大阪市西区九条1-20-24 、TEL 06-6582-1416)
京都みなみ会館
(京都市南区西九条東比永城町79、TEL 075-661-3993)
元町映画館
(神戸市中央区元町通り4-1-12、TEL 078-366-2636)

■サイト
『おだやかな日常』公式サイト
http://www.odayakafilm.com/
シネ・ヌーヴォ
http://www.cinenouveau.com/
京都みなみ会館
http://kyoto-minamikaikan.jp/
元町映画館
http://www.motoei.com/
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