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塚口サンサン劇場にサニー・フランシスのマサララジオがやってきた! サニーさんと観る『RRR』上映会

塚口印度化計画をかかげ、マサラ上映の聖地となった塚口サンサン劇場に、ABCラジオ「サニー・フランシスのマサララジオ」(大阪)のインド人ラジオパーソナリティー、サニー・フランシスさんがやってきた!
爆発的ヒット街道をひた走るインド映画『RRR』をサニーさんといっしょに観ようという「トーク付き上映会」のためだ。この日が初めての『RRR』体験だというサニーさん、どんなトークが飛び出した?
また、最近のインド映画ブームについてもインタビュー。日本に住むインド人だからこそ感じる、インド映画への思いとは?


サニー・フランシスさんとABCアナウンサー小寺右子さんが登場!

トークイベントは、2023年2月8日(水)に開催。「平日の夕方にありがとう。実はこの人もRRRを観に来ました!」の声に呼ばれて登場したのは「マサララジオ」のもう1人のパーソナリティー、ABCアナウンサー小寺右子さんだ。2人の掛け合いは、まるでおでかけ「マサララジオ」。サニーさんは、舞台上から観客にもどんどん声をかけていった。


2人の掛け合いが楽しい

「この中で『RRR』を初めて観る人どんくらいおる?」という問いに手を挙げた人は多かったが、中には20回も観た人も! サニーさんは、映画の中に登場する「ナートゥダンス」についても触れ、ダンスをマスターしたという観客の1人が舞台にあがって踊ってみせる場面もあった。会場は拍手喝采。アットホームなムードに包まれた。
「ちなみにこのダンスシーンは、ウクライナで撮影したんですって」というと、すっと手を上げる人が。サニーさんが声をかけるとその人はウクライナ人だという。「あらら!びっくり。あの撮影が終わってから少ししてウクライナでの戦争が始まったそうなんです」とサニーさん。
さらに「あの1曲だけ撮影するのに63日間かかったそうですよ。しかも、主演の2人が同じステップで踊っているんですが、監督は1回ごとにカメラを止めて角度があっているかをチェックをしたそうですよ。そうやってパーフェクトにしたんですって。次の作品はインディ・ジョーンズっぽい作品が撮りたいと言っているそうです」と撮影現場や監督についての情報も披露した。

毎回「ABCラジオ サニー・フランシスのマサララジオ」では映画の紹介しているサニーさん。小寺さんに「もう一緒にラジオをやって1年くらいになるよね。レンタルなどでインド映画をたくさん見ているそうやけど、何本見ました?」と聞くと「えーっと、これ(『RRR』)が5本目です」と正直に話す小寺さん。
サニーさんは「これを機会にインド映画をもっと見てほしいですよね。今からみなさんと一緒に『RRR』を観るわけやけど、これからもインド映画に興味を示してほしいんですよね。映画情報が解らない人は、このコンビで毎週日曜日の夕方6時から『サニー・フランシスのマサララジオ』をやっておりますのでぜひ聞いてみて」。小寺さんも「はい。ツッコミどころ満載ですから。ぜひツイッターでも盛り上がりながら参加していただいて!みなさんのつぶやきもすごく面白いんですよ」と楽しみ方を解説してトークイベントは終了。『RRR』の上映を待つばかりとなった。


観客にどんどん声をかけるサニーさん。途中、観客の1人にサニーさん愛用のインドの石鹸「medimix(メディミックス)」をプレゼント

はたしてサニーさんはどんな感想を持ったのか。答えは2月12日18時からの「ABCラジオ サニー・フランシスのマサララジオ」で明かされた。そのコメントがこちら。一部抜粋して紹介しよう。

「上映会のオープニングトークでは、会場に知っているリスナーさんの顔がたくさん見えて安心したな。映画はすごい迫力があってよかった!
登場人物のラーマとシータという名前は、インド神話の中でも一番あがめられている名前なんですよ。謀略によって国を追われていた王子のラーマが凱旋する話で、その時に国民が道に光を灯した、それが今のインドのお祭り、ディワリなんです。
ラーマの奥さんはシータ。ビームは別の神話で、力のあるキャラクターとして登場します」

「観るまでは、ナートゥの歌と踊りがあまりにも有名で、その部分しかわからなかったけど、今回観て、めちゃくちゃ面白かった! S.S.ラージャマウリ監督は、インド人でありながら世界レベルの監督やなと改めて実感したね。
今回はイギリスがインドを支配している時代の話で、フィクションやけど、主役の2人は実際にインドの独立に関わった人たち。時代は違うけどね。この2人が革命時代、植民地時代に生きていたらどうなってたやろな、というのがこの映画。
インド映画を観てると、あんたらたいがいにしいや!と思う場面があるけど、今回はコメディシーンは少ない。笑いを入れてあえて脱線させる必要はないなという監督の狙いだったのかも。俺も脱線せんように見習わなあかんわ(笑)」

「踊りのシーンは本当にすごい。63日かけたのもわかるよね。にしても、あの2人いつダンスの練習したん?とツッコミたくなるわ(笑)。
でもとにかく圧巻やったな。エンディングにはスバース・チャンドラ・ボースやヴァッラブバーイー・パテールといった、独立運動にかかわった人たちが出てきていました」

ほか、『RRR』のタイトルにまつわる裏話や神話の開設など盛りだくさん。サニーさんの初『RRR』体験は大満足の結果となったようだ。

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【サニー・フランシスさんに聞く、最近のインド映画ブームについて】
インド映画ブームで終わらせるのでなく
ハリウッド映画のように気軽に観るものになれば


サニー・フランシスさん

今回のイベントは、サニーさんといっしょに話題の『RRR』を観るというもの。サニーさんは日本のインド映画ブームをどう感じている?

■日本のインド映画ファンには頭があがらない。
「こんなに熱を込めてインド映画を愛してくれる日本のインド映画ファンには感心します。ほんとに頭があがらない。よい作品もヒットしていない作品も、すべて同じ目線で観てくれるし、彼らがいたから日本にたくさんインド映画が入ってきていると思う。
マサラ上映後にも、きちんとかたずけて帰るしね。これはインドも見習うべきやと思うんですよ。ただ、インド映画は踊って歌ってだけではないことを知ってほしいなとも思います」

■踊ったり歌ったり。インド映画はそれだけではない
「日本では、インド映画=映画に合わせて歌ったり踊ったりする印象が強いので、どれもそうするものだと思っている人も多いですよね。
でも、それはインド映画の歴史の一面にしか触れていないから。いろいろなジャンルの映画をいろいろな人に提供したいという思いから、インドでは作品も枝分かれしているんです。
日本もインドも両方知っている僕としては、歌と踊りだけのイメージを払拭したいなと思うところがありますね」

■マサラシステムは南インドの楽しみ方
「日本で広まったマサラシステムは、南インドの楽しみ方なんですよ。彼らにとって、働き疲れた一日の終わりに映画を観ることは最大のエンターテイメント。スクリーンに合わせて自然に歌ったり踊ったりして元気を取り戻す。それが南インドのスタイルなんですね。
日本でブームを起こしたラジニカーントの『ムトゥ 踊るマハラジャ』は南インド映画ですが、その後、ムンバイで作られたボリウッド映画など、地域性の異なる映画が日本に入ってきました。『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』のシャー・ルク・カーンの人気が高まったりね。
でも日本の観客にとっては全部が同じインド映画。踊ったり歌ったりするものがインド映画だと思っている気がするんですよ。でもそれは、インド映画の一部。ナン=インド料理みたいなものですよね」

■ハリウッド映画のようにいつでもインド映画がそこにあれば…
「だからといって『RRR』のような大作を基準に考えるのもさすがに……。インドでは年間1200本も映画がつくられているので、『RRR』は、泥の中を探してやっと出てきたダイヤの一つですから。日本の映画通は『ハーフバリ』の監督が撮った新作なんだなと思って観に行くけど、一般の人たちは知りませんよね。
だから、最終的にいろんな種類のインド映画が日本に入ってきて、誰が作ろうがどんな作品であろうが、ハリウッド映画のように常に上映されるようになればいいなと思ってます。今日観た映画がとてもよかった、そういえばあれはインド映画だったな、というくらい気軽になるとうれしいです」

■ブームが起きても次のブームを待つようではもったいない
「『RRR』の上映がすべて終わったらインド映画に対しての熱はちょっと落ち着くでしょう。すると、ブームが起きてもまた次のブームを待つことになる。だから定期的にインド映画が日本で上映されて、定着していけばうれしいね。
『バンバン!』や『エンドロールのつづき』といった面白いインド映画もどんどん公開されていますよね。監督はみんな本当にがんばって映画を作っていると思うんです。インドだけにとどまらず世界中で公開できるとモチベーションが上がる。日本での『RRR』の大ヒットは、インドで常にアップデートされていますからね。今月はこれだけの興行収入がありました、とかね。日本に住んでいる僕としては、それがすごいうれしいんですよ」

■好みの作品はきっとある
「まずは、どんな映画があるかを調べて、自分の好みに合ったものを探してほしいですね。話題性があるものなら入りやすいし。そこを入口に、いろんなインド映画を観てほしいです。
そのなかから、さらに深く、これはタミル映画、これはヒンディー映画だったなとわかるようになればもっと楽しい。それくらいになってこそ、ほんまにインド映画が日本に定着したことになるなと思います」

取材・文:田村のりこ
詳細情報
■サニー・フランシス
1964年、インドの南ケララ州に生まれ。西インドのアメダバードシティーで育つ。大学卒業後に来日し、「関西弁をしゃべる変なインド人」として、テレビやラジオで幅広く活躍中。ABCラジオ『サニー・フランシスのマサララジオ』では、毎週オススメ映画を紹介!
サニー・フランシスのマサララジオ

映画『RRR』公式サイト
塚口サンサン劇場