塚口サンサン劇場の改革10年を記した人気連載! 書籍も発売中!

連載コーナーはこちら

第5章 塚口マッ怒編「なんてラブリーな日だ!」3/4

2015年8月22日
「『マッドマックス 怒りのデス・ロード』Screaming“MAD”上映」当日。

上映が始まる前の劇場には、イモータン・ジョーやその他劇中登場人物に扮したコスプレが登場した。
そして「V8」コールが鳴り響く。手を組み合わせ、天に向けて突き上げながら叫ぶ。
さながら、作中の冒頭のシーンの再現のようであった。

ここまでテンションが高いスタートは、かつてのサンサン劇場では見なかったことだ。
それの理由の一つは、地下1階での「特殊メイク」コーナーだ。

これまでもコスプレの集会所として活用し始めていた地下1階
この場所で今回、特殊メイクアップスタジオを迎え、メイクコーナーを設営した。
なんのメイクをしたかというと、作中に出てくる「焼印」だ。
ウォーボーイズたちが忠誠の証として押される焼印のデザインを、手や額、首筋などに特殊メイクを施してあげるという企画だった。

当日は、様々なコスプレをした人であふれた同劇場だが、この焼印サービスでさらにテンションが上がったことは間違いない。

s0503a

そしてこの劇場を取り巻く熱狂は、もう一つの反響を呼びこんだ。
関西人にはとても有名なテレビ番組「ちちんぷいぷい」の取材が入ったのだ。
(平日の午後に放送していた人気情報番組。2021年3月に放送終了)

きっかけは、同番組のアナウンサー西靖さんのツイート。
西さんが同作にハマり、何度も劇場で観ているとのことだった。
戸村さんはそのツイートに、「ぜひうちにもお越しください」と引用リツイートした。

それが後日、「ちちんぷいぷい」から取材の依頼につながった。
当日はもちろん西さんも劇場に来て、参加者と一緒に焼印のメイクをし、集合写真を撮り、上映を楽しんだ。
そしてその様子が後日、テレビで放映され、その熱狂ぶりが多くの人に伝わった。

s0503b

もちろんいままでも徐々に劇場の認知度は広がっていた。
『電人ザボーガー』、『桐島、部活やめるってよ』、『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』、『パシフィック・リム』、そのほかイベント上映など、随所随所でインターネットを中心に知名度が上がり、人気を拡大していたが、この「ちちんぷいぷい」がまた一つ、たくさんの人に知られるキッカケとなった。
「ちちんぷいぷい」は、そのあと、何度かサンサン劇場を取り上げることになるが、最初はこの『マッドマックス 怒りのデス・ロード』であった。

s0503c

参加者たちは、狂乱と熱狂の120分を駆け抜けた。
日本版エンドロールで流れる、MAN WITH A MISSION×ZEBRAHEADの楽曲「Out of Control」は、手拍子・クラッカーだけでなく、「Hey!」のかけ声にあわせて叫ぶなど、さながらライブ会場のような盛り上がりだった。
だがもちろん、上映後は行儀が良い。マサラで散らばった紙吹雪やクラッカーを、全員で掃除した。

s0503d

ちなみにこの「Out of Control」でのライブ的な盛り上がりを見た私と戸村さんの間に、ある認識が生まれ、それが後日のある企画に結びついたりするのだが、これについては後述することにしよう。

そしてこの『マッドマックス 怒りのデス・ロード』Screaming“MAD”上映の、ある意味「副産物」として生まれたものが、実はその後の塚口サンサン劇場の大きな屋台骨となる。