貴重なフィルムを一挙上映する「神戸発掘映画祭2021」が、神戸映画資料館で10月16日(土)から開幕へ。今年は個人コレクターの貴重な作品や、9.5ミリフィルム特集、無声映画と音、新発掘アニメーションを特集。
「神戸発掘映画祭」の前身は、2009年から行われてきた「神戸ドキュメンタリー映画祭」。2017年にリニューアルし、現在の「神戸発掘映画祭」として、資料館所蔵のものからコレクターの所蔵物、新たに発見された映像作品など、多彩なフィルムを上映している。
2017年・2018年・2019年はそれぞれ5日間開催したが、2020年は新型コロナウィルスの影響で開催を断念。今年2021年に、文化庁「ARTS for the future!」補助対象事業に認められたこともあり、8日間に期間を増やし、開催する。
今回のテーマは「個人コレクター」「9ミリ半(9.5mm)フィルム」「無声映画と音」「新発掘アニメーション」。
映画愛好家だった玉岡忠大氏の所蔵物「玉岡コレクション」や、硝子商品製造販売を行っていた田中鐵商店のアニメコレクションなどが揃った今回。
中でも大きな注目を集めたのは、玉岡コレクションの中にあった、『海の宮殿』という作品。「日本のアニメーションの父」と呼ばれる政岡憲三氏による貴重な実写作品で、ロッテルダム国際映画祭でも上映され話題となっていた。
『海の宮殿』のフィルム
その『海の宮殿』も含めて、今回の映画祭では「9ミリ半(9.5mm)フィルム」を大きくフューチャー。通常よく知られる8ミリ、16ミリ、35ミリというフィルムの規格に加えて、当時は個人の撮影や家庭での映写用に9.5ミリという規格が使われていたという。
ただ映写機も家庭用のため光量が少なく、映画館での上映には向いていないことから、今回はデジタル化して上映。管楽器と太鼓の楽団「ころあい」や、楽士鳥飼りょうさんのピアノ演奏と共に上映する。
神戸映画資料館にある、9.5ミリの映写機
それ以外にも、無声映画にも力を入れる。
アメリカの『嘲笑』(1927年)や『ウーマン』(1918年)、小津安二郎のサイレント映画『東京の女』(1933年)などを上映し、柳下美恵さん・天宮遥さんがピアノ演奏を添える。
さらに、「レコードトーキー」と呼ばれる、サイレントのフィルムとレコードの音を組み合わせて上映されていた作品や、1975年に音声録音された活動写真弁士の音声をつけての上映など、通常の演奏上映とは違った形も楽しめる機会となっている。
そのほか、鉄道映画特集や、トーク企画、調査研究解説なども実施する。
こういったプログラムについて、詳しい専門家たちからは「貴重な作品がたくさん」という声も多く上がっている今回の神戸発掘映画祭。
同祭を運営する神戸映像アーカイブ実行委員会の事務局を担当している田中範子さん(神戸映画資料館・支配人)は「出来上がったプログラムをみて、すごく豊富なラインナップになったなと実感しました」と話す。
4つのテーマで、合計8日間の開催になったため、それぞれ興味を持っている方がより楽しめるような形になったといい、「例えばあるジャンルに興味を持っている方が、近い時間帯で同じく興味を持てるものをはハシゴできるような組み方をしましたので、ぜひ楽しんでください」と呼びかけている。
神戸発掘映画祭2021は、神戸・新長田の神戸映画資料館にて、10月16日(土)・17日(日)・22日(金)・23日(土)・24日(日)・29日(金)・30日(土)・31日(日)の合計8日間開催予定。
神戸発掘映画祭2021 予告編 |
詳細情報 |
■開催日程 10月16日(土)・17日(日) 22日(金)・23日(土)・24日(日) 29日(金)・30日(土)・31日(日) ■料金 ■予約方法 ■会場 ■サイト |