映画の創成期の、サイレント映画に演奏を加えるという上映スタイルを広めようと、「アフター・リュミエール」というイベントが始動した。第1回は、大阪・十三のシアターセブンで7月22日に実施予定。
「アフター・リュミエール」は、「映画を発明した」と言われるリュミエール兄弟から命名。リュミエールが、スクリーンに映像を投影するいまの映画のスタイルを発明した当初は、映画はサイレントだった。無音では見づらいのと、映写機の音が大きかったのでそれをかき消すために、ピアノなどの楽器で伴奏を行っていたという。
日本でサイレント映画といえば、スクリーンの横でナレーションやセリフを一人で演じ分ける「活動写真弁士(カツベン)」が有名だが、これは欧米ではほぼ見られないスタイル。日本では話芸の仕事が発達していたのと、海外の映画に出てくる文化習俗を日本人に説明してあげる必要があったためだという。
今回の「アフター・リュミエール」は、欧米で最初にスタートした映画鑑賞のスタイルをぜひ今の時代に味わっていただこうという思いでスタート。無声映画振興会の代表で、自身もピアノで映画伴奏を手掛ける鳥飼りょうさんが企画し、作品の選定から当日の演奏までを手掛ける。
「映画がリュミエールによって生まれてから、トーキー映画が普及するまでの約40年は、ずっとこのスタイルでした。サイレント、と言われると無音で黙って見ないと…と思われる方もいますが、実際はピアノやオルガンなどの生演奏と共に楽しまれていて、それが『映画』というものでした」と話す鳥飼さん。
「映画館ができるまでは、見世物小屋でダンスや演劇などと同じ空気感で上映されていたほど。ぜひその当時の贅沢な体験を味わっていただければ」と意気込みを語る。
「アフター・リュミエール」の第一回は、大阪・十三の映画館「シアターセブン」で7月22日(木・祝)14時から開催予定。
「アフター・リュミエール in 十三 vol.1」と題し、1925年のソ連のサイレント映画『ストライキ』(88分)を上映する。
『戦艦ポチョムキン』で有名なセルゲイ・エイゼンシュテイン監督が27歳の時に撮った長編第一作で、帝政ロシアの鉄工場を舞台に、経営者と労働者の闘いを天才的な映像技術とリアリズムで描いている。
シアターセブンの担当者は「今回上映する『ストライキ』は、映像の力強さを存分に味わえる作品です。ぜひスクリーンでご覧いただき、セルゲイ・エイゼンシュテイン監督のメッセージを、体感いただければと思います」とコメント。
「無声映画の演奏公演を数多く行っている鳥飼りょうさんの、譜面なしでお送りする名演奏も、映画と一緒にご堪能ください。サイレント映画は見たことがない、ちょっと苦手かもという方でも、ピアノ演奏が加われば見え方が違います。ピアノ伴奏でみるサイレント映画の楽しさを、知っていただければ幸いです」と呼びかけている。
詳細情報 |
■イベント日程 7月22日(木・祝)13:50開場、14:00開演 ■料金 ■映画館 |