大阪・天六のシネマパブ「ワイルドバンチ」で開催したイベントや定例プログラムの様子をお届けするレポート記事です。
開催日:4月3日(月)
話題の中国発3DCGアニメーション映画『ナタ転生』とそのベースとなった封神演義について語るトークショーが4月3日(土)大阪・天神橋筋六丁目のワイルドバンチにて行われた。
登壇者は、関西大学文学部教授で中国文学研究者の二階堂善弘さんと、映画サイト「ビーパワーハードボイルド」運営者のデッドプー太郎さん、映画サイト「キネプレ」編集長の森田和幸さん。
「封神演義は日本では知名度は低いものの、中国では三国志演義や水滸伝とならぶ有名小説。作中に登場する神は実際に中国各地で祀られており、中国の宗教文化に多大な影響を与えている作品である」と二階堂さんは語る。
哪吒(ナタ)が登場する物語は封神演義の中でもサブストーリーだが、二次創作として演劇や映画など映像化したことにより非常に人気になったことについて、デッドプー太郎さんからの「中国では何百年も前からマーベルコミックのスタイルなんですね」とのコメントには、会場から笑いが起こった。
そしてデッドプー太郎さんが度肝を抜かれたと話す『ナタ転生』オープニングでのバイクシーン。ワイルドスピードやマッドマックスのようなチェイスシーンで有名な映画の名前が挙がる中、二階堂さんから台湾の暴走族の間で実際に哪吒が信奉されていると説明され、観客の間からも納得の声が上がった。
続いて二階堂さんは封神演義と西遊記での哪吒の設定の違いについて触れ、『ナタ転生』の続編はどのようになるかなど、今後の展開の予想を織り交ぜつつ取り上げた。
その後は登壇者が感じた『ナタ転生』の魅力についての話題に。3DCGアニメ技術の発展に驚いたと二階堂さん。デッドプー太郎さんはポスターアートに言及しつつ、日本作品から影響を受けたであろうキャラ造形やCG技術について語った。森田さんは原作設定への細かな配慮や、こうしたアニメ作品が中国文化に興味を持つきっかけとして重要だと述べた。
トークショーの最後には『ナタ転生』を配給したチームジョイ株式会社から宣伝秘話について語られ、観客からも同作に関する多くの質問が寄せられるなど、興奮冷めやらぬままにイベントは大きな拍手で幕を閉じた。