人気の戯曲を、劇作家・鄭義信さん自身で映画化した『焼肉ドラゴン』が全国公開中。監督の鄭義信さんと、3姉妹の3女を演じた桜庭みなみさんに、本作の見どころについて話を伺った。
もともと人気の舞台として様々な場所で上演されてきた作品「焼肉ドラゴン」だが、今回初の映画化が実現。舞台は、高度経済成長と大阪万博というトピックスがあった1970年代、大阪の伊丹周辺にある小さな焼肉店「焼肉ドラゴン」。その店を営む夫婦と家の3姉妹、その彼女らをとりまく人たちの交流と人生の転機、戦争や故郷の思い出を描く物語となっている。
店主夫婦を『隻眼の虎』のキム・サンホさんと『母なる証明』のイ・ジョンウンサンが演じるほか、3姉妹を真木よう子さん、井上真央さん、桜庭ななみさん、長女の幼なじみで次女の婚約者・哲男を大泉洋さんが演じた。
『血と骨』などの映画では脚本家として活躍していた鄭義信さんだが、映画監督は本作が初。映画化にあたっては、演劇の舞台では見せられなかった、「焼肉ドラゴン」以外の場所を丁寧に描くことを心掛けたという。
パチンコ屋、焼肉屋、くず鉄屋が「在日韓国人の代表的な仕事だった」と語る鄭さん。そういった自分自身の記憶・体験の部分を絡ませながら、取材をして一つの家族の物語を作り上げた。「にぎやかで楽しい物語に仕上がったと思います。途中途中の演技は、俳優に任せているところもあって、現場で急きょ生まれた演出もあります。撮影の朝に思いついて現場で伝えたり」と鄭さん。桜庭さんも「新しいシーンに生まれ変わることも多くて、その分新鮮に演じられました」と振り返った。
桜庭さんは自身が演じた三女の美花について「この家庭の中では、マイペースで自由なキャラクター。でも真剣に自分の人生に取り組んでいることはほかの登場人物と一緒で、そんな美花にしかできない役目を表現しようと心がけた」と語る。
「いま家族という形が多様化していますし、血縁だけが家族ではなく、赤の他人でも他民族でも、共存する時代になってきたと思います」と語る鄭監督。「『焼肉ドラゴン』に出てくる人たちも、それぞれの人生がこれまでにあって、そしてこれからもそれぞれの道を歩んでいく。それと一緒で、人生についてもいろんなアプローチがあるので、それぞれの人が受け止めて頑張っていってほしい」と呼びかけた。
映画『焼肉ドラゴン』は、全国公開中。
映画『焼肉ドラゴン』予告編 |
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■上映日程 6月22日(金)~ ■サイト |