4月14日(土)、大阪・十三のシアターセブンでHIP HOPムービー『唾と蜜』の舞台挨拶が開催された。牧監督や出演するミュージシャンのEINSHTEINさん、Sh0hさんらが登壇。ヒューマンビートボックスの即興も披露。
映画『唾と蜜』は牧監督が自身の20歳前後の記憶を辿りながら作ったという長編作品。
HIP HOPという音楽ジャンルのアート性、その裏に潜むアングラ世界、そして一人の青年の心の葛藤を描く。映画のタイトルを逆から読むと「罪と罰」。牧監督は「タイトルにも各登場人物の台詞にも暗喩を込めている。どの部分が唾で、どの部分が蜜なのか。何が罪で何が罰なのか、という部分にも注目して観てもらうと、HIP HOPムービーとして以外の魅力を発見できるはず」と作品の見どころを語った。
牧監督は映画の核となる本物のHIP HOPの音を再現するため、キャストの多くに実際の音楽シーンの第一線で活躍するアーティストたちを起用。主演は若干20歳ながらHIP HOP、R&BからPOPSまで幅広いジャンルで活躍し、アイドルグループへの楽曲提供も手がけるEINSHTEINさん。
高校生の頃からラッパーとしての頭角を現し、18歳の時に出演していたフリースタイルラップバトル番組で牧監督に声をかけられたという。舞台挨拶では「もしこの映画を観て少しでも面白いと思ってもらえたら、EINSHTEINという歌手としても注目してほしい」とアピールした。
準主演に抜擢されたのは、ヒューマンビートボックスアーティストとして東京で活動するSh0hさん。
ヒューマンビートボックスとは、人間の発声器官のみを使い、ドラムビートやベースラインからキーボードの旋律や機械音まで、様々な音を模倣し一つの音楽を創り上げるHIP HOPの表現手段の一つ。ヒューマンビートボックスの日本チャンピオンであり、世界大会の日本代表として世界で活躍する実力者であるSh0hさんだが、舞台挨拶では「出演者の中で自分だけが東京で活動しており、撮影の度に新幹線に乗って大阪に来ていた。今日は久しぶりに御堂筋線?御堂筋線だっけ?それに乗れて懐かしかった。大阪が思い入れのある街になったのが印象的」と、他の出演者に確認をしながらコメントをする親しみやすい一面も見せた。映画については「世間に取り上げられることが少ないヒューマンビートボックスが少しでも知られるきっかけになれば嬉しい」と語った。
隣にいたキャストの藤井さんからの「ちょっとだけやってよ!さわりだけ!」というおねだりで、普段ならマイクの調整なしでは行わないヒューマンビートボックスを披露。突然のリクエストとは思えないほどクオリティの高い即興演奏を行い、観客の体を揺らせた。
おねだりをした藤井さん自身も何度耳にしても新鮮なようで、Sh0hさんに「ちょっと口開けて?多分小さいおっさん50人くらいおると思う」と客席の笑いを誘った。そんな茶目っ気たっぷりの藤井さんは、自身のキャラクターとは裏腹に作中ではアングラ界を象徴するヤクザを演じる。「今回の映画は牧監督が自腹を切って、想いだけで作った映画。僕たちもその想いに乗ってやっと公開まで漕ぎ着けたので、これから作品を観る方が増えて、上映館が増えていくととても嬉しい。観客のみなさま、応援よろしくお願いします」とメッセージを送った。
舞台挨拶の最後に、牧監督は「ここからが出発点だと思っている。この映画で本気で世界を目指していきたい」と宣言。実は牧監督は初脚本・監督作品である『japing』という短編映画で、若き日のスピルバーグやジョージ・ルーカスらが受賞者として名を連ねるヒューストン国際映画祭の短編部門金賞を獲得。そして今作品でも牧監督は世界のタイトルを狙っており、実際に5月に行われるフランスのニース国際映画祭では3部門にノミネートされているという。しかしここからの勝負に観客の応援が欠かせない。「映画を観て面白ければぜひSNSで感想をシェアしたり、映画サイトでレビューしたりして、どうか皆様の力で日本全国そして世界の劇場に羽ばたかせてください」と熱い言葉で舞台挨拶を締めくくった。
世界を目指すHIP HOP ムービー『唾と蜜』は4月20日(金)まで大阪・十三のシアターセブン、神戸の元町映画館で上映中。
映画『唾と蜜』予告編 |
詳細情報 |
■上映日程 4月14日(土)~4月20日(金) ■対象映画館 元町映画館 ■サイト |