3月17日(土)京都・出町座で「大根監督の自他ともに認める(だけど普段は上映されない)傑作をみんなで観る会」が開催され、『モテキ』『バクマン。』などで知られる大根仁監督が登壇。人気テレビディレクターの岡宗秀吾さんを交え、『スチャダラパーの悪夢』(2009年)の上映後にトークイベントが行われた。
大根監督が手掛けた普段上映される機会が少ない2つの作品を、監督と一緒に鑑賞し、上映後には作品にまつわるトークが聞ける本イベント。
第1部では『ゆらゆら帝国 2009.04.26 LIVE @日比谷野外大音楽堂』(2010年)、第2部では『スチャダラパーの悪夢』(2009年)が上映された。
『スチャダラパーの悪夢』は、2009年に開催されたスチャダラパーの全国ツアー「Station to Station 2009」の赤坂BLITZ公演のライブパフォーマンス映像と、スチャダラパーのメンバー全員が堕落し、解散の危機に陥ってしまうフェイクドキュメンタリー映像で構成された作品。
リリー・フランキーさん、大宮エリーさん、山下敦弘監督、ピエール瀧さんらメンバーと親交のある豪華な面々も登場したことで話題となった。岡宗秀吾さんはメンバーに密着するディレクターとして登場している。
上映終了後に登場した大根監督と岡宗さん。2人とも約10年前の作品を久しぶりに鑑賞したとあって、懐かしい様子でトークがスタート。大根監督は「こんなに長かったでしたっけ?映像体験としては『地獄の黙示録』ぐらいあったような」と話し、早速観客の笑いを誘った。
岡宗さんも自身が登場するエンドロールを改めて見て「びっくりした!まさか自分が(尾崎豊さんの)『I LOVE YOU』 を歌ってるなんて(笑)」と振り返った。2人のやり取りにシアターも笑いに包まれる。
大根監督は、本作を手掛けるきっかけについて「スチャダラパーがツアーをやるんで、合間に入れるドキュメンタリーを撮ってほしい、というラフなオーダーがきて、(岡宗さんと)一緒にやろうって。どんな感じのモノにしようかなって考えたときに、スチャダラパーがツアー中に解散の危機が訪れるみたいなものどうか?みたいなところから始まった」と明かす。
メンバーにとって重要な人物として出演する岡宗さんは、当初そこまでの出演の予定はなかったそう。岡宗さんも「撮るつもりで、出るつもりではなかったです」と話す。しかし「監督とディレクター、2人もいらないってことで、カメラの前に出されるようになって。改めて見たらすごい出てる(笑)」と説明。そして「エンドロールに『監督・大根仁』『ディレクター・岡宗秀吾』ってあるけど、英語か日本語ってだけで、意味は一緒ですよね(笑)」と大根監督にツッコミを入れた。
本作のハイライトともいえる、スチャダラパーのメンバーに岡宗さんが激怒するシーンについても裏話が。大根監督から厳しい演技指導があったことを明かす岡宗さんは「実はあのシーン、7テイクぐらいやってるんですよ」と告白。それだけテイクを重ねた理由について「セリフもなくて、こういう理由で怒ってというイメージがあるだけで。NGの理由を監督が言ってくれないんですよ。理由を言ってくれないから、その理由を自分なりに考えました」と振り返った。
これに対して、大根監督は「覚えてないですね。現場のことって忘れちゃうんですよね。でも、確かに改めて映像を見ると、昼間に取り始めているのに窓の外は夜になってますね(笑)」と返し、会場からも笑いが起こった。
2009年に発表された本作。第1部で上映された『ゆらゆら帝国 2009.04.26 LIVE @日比谷野外大音楽堂』も含めて2009年に手掛けた作品を振り返り、大根監督は「深夜ドラマの『湯けむりスイパー』で、はじめて脚本と演出を手掛けて、この3つの仕事がどれもビンビンきた。ドラマ、ライブビデオ、バラエティ、心技体すべて揃った!全部話題になるぞ!って思ったけど、どれも話題にならなくて(笑)」と自虐的にコメント。しかし「だったら普遍的なわかりやすいヒット作をつくろうと思ってできたのがドラマの『モテキ』だった」とあの人気作の誕生秘話も飛び出した。
本作を改めて鑑賞した大根監督は「世間に届かなかったのがすごい悔しいけど、10年経って改めて見ると、それもわかる(笑)」とオチをつけ、満員の観客を笑わせた。
このほかにも撮影裏話やロケで訪れた沖縄での思い出など、赤裸々なトークが展開。息のあった2人のやり取りに集まった観客もずっと笑いっぱなしの様子だった。
Twitterでは「大根仁監督と岡宗Dのトーク、面白くてずっと笑ってた。大根監督も岡宗Dもまた出町座に来てください!」とのツイートも寄せられている。
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■映画館 出町座 (京都市上京区三芳町133、TEL 075-203-9862) ■サイト |