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「映画通じて中国への理解深めてほしい」大阪で中国映画祭オープニングセレモニーが開催

3月10日(土)、日本初公開の作品を含む新作の中国映画を一挙に上映する中国映画祭「電影2018」のオープニングセレモニーが開催され、上映作品の監督やキャストらが登壇。会場となった大阪・阪急うめだホールには、多くの中国映画ファンが詰めかけ、映画を通じて日中の文化交流が実現した。

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中国映画祭「電影2018」は、昨年に日中両国の国交正常化45周年を迎えたことを記念し、国際交流基金と公益財団法人ユニジャパン(東京国際映画祭事務局)、上海国際影視節有限公司(上海国際映画祭事務局)が中心となり企画された映画祭。中国でも未公開の新作を含め、日本初公開の作品などがラインナップされた。
オープニングセレモニーには『無言の激昂』のシン・ユークン監督とプロデューサーのオン・スーチュンさん、『追跡』のリー・シャオフォン監督とキャストのシン・ポンさんが登壇した。

オープニング作品『芳華-Youth-』の上映後、観客からのあたたかい拍手に包まれ、登場した4人。まず『無言の激昂』のシン・ユークン監督とプロデューサーのオン・スーチュンさんが日中の観客に挨拶。
シン監督は「素晴らしい映画祭に自分の作品を選んでくれたことに、とても感謝しています」と話し、「映画は国境をも越えるもので、世界のどこでも、さまざまな国の人の心を結びつけることができる」と映画に対する熱い思いを述べた。
プロデューサーのオンさんは「こんにちは!」と日本語で挨拶し、「大阪はパワーがみなぎる明るい街。シン監督と一緒に来ることができてよかった」と喜びの表情を浮かべた。

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作品について語るシン・ユークン監督

『無言の激昂』は真冬の中国を舞台に、行方不明となった鉱山労働者の息子を捜す父親の姿を描いた人間ドラマ。撮影も真冬の時期に合わせて行われたそうで、シン監督は「真冬のリアリティを観客に伝えたかった。役者も寒さを実感したリアルな演技を披露している」と撮影へのこだわりを語った。
オンさんは「シン監督がこれまで手掛けた作品のテイストとは、全く違うものに仕上がった。ぜひ楽しんでほしい」と太鼓判を押す。実はシン監督とオンさんは、実生活でもパートナー。オンさんはシン監督を「映画においては、先生」と尊敬の念を抱いていることを明かし「切磋琢磨、互いに助け合う協力体制ができている。私はシン監督のあとについていって、これからもこの道を歩み続けていきたい」と顔を赤らめながら話した。

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シン監督への思いを明かすオン・スーチュンさん

続いて『追跡』のリー・シャオフォン監督とキャストのシン・ポンさんのトークに。初めての大阪に嬉しそうな笑顔を見せるリー監督は「中国では『無言の激昂』は4月に公開されることが決まっていますが、僕の作品はまだ公開が決まっていません(笑)」とユーモアたっぷりに挨拶。
しかし作品の出来には満足の様子で「映画を撮れるのは幸せなこと。作品をご覧になって皆さんも幸せを感じてほしい」とコメントした。シンさんは「僕が出演する作品をどんどん日本で観ることができればいいなと思っている。また、中国映画を通じて、中国への理解を深めてほしい」と思いを明かした。

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『追跡』のリー・シャオフォン監督は、作品の出来に満足の様子

『追跡』は、境遇の違う2人の青年が1冊の本を通じて友達になり、共謀して殺人を犯すところからはじまるサスペンス作品。バイオレンスな描写も多いが、リー監督は「この映画はラブストーリーだと思っている」と話し、愛には暴力の側面もあると説明。
リー監督と2作目のタッグとなったシンさんは「リー監督は真面目で厳しい。以前、役者の演技で涙しているリー監督を見て、深く感動した」とリー監督への思いを話した。また、「舞台劇を学んでいた僕を映画界に連れてきてくれたのはリー監督。映画における演技とは何かを教えてくれた」とリー監督へのリスペクトの思いを明かした。

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『追跡』に出演するシン・ポンさん

映画祭を主催する公益財団法人ユニジャパンの副理事長・椎名保さんは「違う国の映画を3本見ると、その国の文化がわかる」と話し、中国映画を観て、中国の文化を知るきっかけにしてほしいと観客に呼びかけた。映画をきっかけに、日中の交流が今後ますます盛んになればと願い、イベントを締めくくった。

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■サイト
中国映画祭「電影2018」