森友学園問題や姫路のこども園の水増しなどで児童教育の在り方が問われる今、かつて小学校だった立誠シネマで『みんなの学校』『さとにきたらええやん』の2本のドキュメンタリー映画が上映される。5月6日(土)から19日(金)まで。
映画『みんなの学校』(2014年、106分)は、「不登校ゼロ」を目指す大阪市住吉区の大空小学校の取り組みを記録した作品。発達障害の児童も、暴力を振るう児童も、同じ教室で学び、教師や地域のボランティアが積極的に関わりながら、育っていく様子を描いた。当初のテレビ放映版が2013年の文化庁芸術祭のテレビ・ドキュメンタリー部門の大賞や、日本放送文化大賞準グランプリを受賞するなど、高い評価を得て、劇場版に再編集された。
映画『さとにきたらええやん』(2015年、100分)は、大阪市西成区釜ヶ崎でNPO法人として活動を続ける「こどもの里」を撮影した作品。同地域で38年にわたって、子どもたちの憩いの場として活動を続ける「こどもの里」と、0歳から20歳くらいまでの子どもたち、そして彼らを支える職員や街の人々の様子を描く。平成28年度文化庁映画賞において、文化記録映画優秀賞受賞に輝いている。
教育と社会のコミュニティについて描く、大きな反響を得た2作品。
森友学園やこども園の水増し問題などで国の教育と行政が大きく揺れ動く今だからこそ組まれたような特集だ。
同館担当者は、「いま、子どもの居場所を考えるということはどういうことでしょうか」と話す。
「この2作に共通して見えてくるのは、子どもの居場所は、地域全体でつくっていくものだということ」と担当者。「小学校や児童施設は、子どもを預けてお任せする場所なのではなく、私たちが生活している地域が、当たり前のように子どもがいる風景を形成していくためには、地域全体がいかにそこに携わるのかという問題が関わってくるということです」と語る。
会場となる立誠シネマは、かつて小学校だった校舎を活用して映画を上映していることから、作品との親和性も高い。担当者には「すでに学校としての役割を終えたこの場所でも、いやだからこそ、地域で子どもたちの居場所を支えていくことについて考える企画をと」いう思いがあるという。
「これからの私たちが生きていく世界が、子どもの居場所がちゃんとある世界であるために、まずは知ること、触れてみることから始めたいと思います」と呼びかけている。
『みんなの学校』『さとにきたらええやん』は、京都の立誠シネマで5月6日(土)から5月19日(金)の2週間上映予定。5月6日(土)、5月7日(日)、5月13日(土)にはトークイベントを実施する。5月13日(土)は、『みんなの学校』真鍋俊永監督と、『さとにきたらええやん』重江良樹監督の対談となる。
映画『みんなの学校』予告編 |
映画『さとにきたらええやん』予告編 |
詳細情報 |
■上映日程 5月6日(土)~5月19日(金) ※5月6日(土)、5月7日(日)、5月13日(土)にはトークイベントを実施 ■映画館 ■サイト |