映像配信サービスdTVが手がけた、三浦大輔監督作の池松壮亮、寺島しのぶ出演ドラマ『裏切りの街』。配信作の中でも人気の本作品が、大阪の第七藝術劇場・神戸の元町映画館・京都みなみ会館と、関西のミニシアターで劇場上映される。オンデマンド配信作品を劇場上映するという珍しい取り組みについて、dTVの本作品担当・辻村和也さんに話を聞いた。
『裏切りの街』は劇団「ポツドール」の主宰者である三浦大輔監督が2010年に上演した同名舞台を元に、2016年2月dTVでドラマ映像化された作品。物語は、池松壮亮演じる恋人の家で自堕落に日々を過ごすフリーターの青年と、寺島しのぶ演じる平凡で空虚な日常に不満を持つ主婦が出会い系サイトを通じて、15歳差の不倫劇を繰り広げるというもの。中村映里子、落合モトキ、駒木根隆介、佐藤仁美、平田満らが脇を固め、登場人物誰しもが人を裏切りながらも人間関係を紡いでいく姿を描き出す。主題歌は銀杏BOYZの『ピンクローター』。R-15+指定作品となっている。
辻村さんは作品の映像化を担当。まず『裏切りの街』を劇場上映するに至った経緯について伺うと、「実はこのドラマを撮り始めた時から三浦監督は、映画を作る意気込みで取り組んでいたんです」と語る。「三浦監督の熱意に、監督が選んだ池松壮亮さん、寺島しのぶさんを始めとする豪華なキャストが加わって、見応えある作品に仕上がりました。それで、これは本当に劇場上映できるんじゃないか?という流れになりましたね」
実際に劇場上映が実現するまでに苦労はあったのだろうか。その問いには「dTVの関連オンデマンドコンテンツからは、過去に『女たちは二度遊ぶ』など、いくつかの作品は劇場上映されたことはあったのですが、その時は配給会社へ依頼して段取りをしていただきました。今回の『裏切りの街』は配信サービスを行う我々自身が直接上映を交渉していったので、初めてのことばかりで色々と大変でした」と語った。
「昨年、東京の新宿武蔵野館で上映を行った時は、三浦監督や制作スタッフと共に“とにかく劇場をいっぱいのお客さんで埋める努力をしよう”と、三浦監督をはじめ、池松さんや寺島さん、主題歌を担当した峯田さんまで、『裏切りの街』に関わった方々を日替わりで呼ぶなどして、お客さんに楽しんでいただける工夫しました。その結果、新宿武蔵野館では予想を超えるたくさんのお客様に来場していただけました」
自ら手配を行い、上映を実現させる。その意欲はどこから来るのだろうか。その質問に、辻村さんは笑顔でこう答えた。
「良い作品は映画であっても配信動画であっても良いもの。そこに違いはありませんから、観る手段を限定されなくてもいいのではと思いました。また、作り手としても、メディアの枠にとらわれずに作品を観てもらえる地盤ができれば夢が広がりますよね。今後も今回の経験を活かしながら良い作品作りを第一に考え、その出口として配信ドラマや劇場上映を行う事も増やしていけると良いなと考えています」
今回、関西では第七藝術劇場、元町映画館、京都みなみ会館というミニシアターでの上映が決定している。辻村さんがこれらの上映館を選んだ理由について詳しく伺った。
「作品との親和性を感じたから、というのが1つの理由です。三浦監督は元々舞台人ですから、監督のファンはこうしたミニシアターとの親和性が高いのではと思いました。また、ミニシアターでは、公開済みの作品を改めて上映するセカンド上映を行うことも多いのですが、すでにオンデマンド配信されているこうした作品を上映するのも、劇場側として受け入れていただきやすい土壌があると思います」
新宿武蔵野館での上映時は、辻村さんが予想していたよりも色々な層の鑑賞者が集まったという。映画好きが集まるミニシアターという場で、良い作品を求める人々にオンデマンドコンテンツといういままでとは異なるものを届ける。その新たな試みに、より配信ドラマや作品自体の理解が深まる機会となるのではないだろうか。
最後に、番組担当として今回映画として上映される『裏切りの街』についての見所を聞いた。
「劇場版では、dTVで配信されたドラマとは異なる編集が施してあります。ふとしたカットで映る小物の意味、登場人物の関係性など新たな発見ができますので、すでにドラマをご覧になった方も楽しんでいただけると思います。また、劇場で初めてご覧になった後ドラマ版を見ても、同じような発見をしていただけるのではないでしょうか」
『裏切りの街』は第七藝術劇場にて1月21日(土)より2週間限定上映、元町映画館は2月4日(土)より、京都みなみ会館は2月11日(土)より公開予定。
『裏切りの街』予告編 |
詳細情報 |
■上映日程 ・第七藝術劇場 1月21日(土)~2月3日(金) ・元町映画館 ・京都みなみ会館 ■映画館 元町映画館 京都みなみ会館 ■サイト |