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震災1.17から22年 大阪・十三の『その街のこども』上映に森山未來さん登壇

阪神・淡路大震災から22年。1月16日(月)大阪・十三のシアターセブンで『その街のこども 劇場版』のトークイベントが開催された。主演の森山未來さん、脚本の渡辺あやさんに加え監督の井上剛さん、プロデューサーの京田光広さんが登壇。

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左から、京田プロデューサー、井上監督、森山さん、渡辺さん

『その街のこども 劇場版』は2010年にNHKが阪神・淡路大震災15年の節目として製作したドラマ。実際に神戸出身の森山未來さんと、神戸で被災経験を持つ佐藤江梨子さんが等身大の若者を熱演。1月16日に出会った男女が17日早朝に東遊園地で行なわれる追悼の集いに赴くまでの一夜が描かれる。ドラマ放送時に視聴者からの反響が大きく再編集を加え、劇場版として製作された。

毎年、この時期に本作を上映しているシアターセブン。1.17の前日となる1月16日の夜には、ゲストを招いてのトークイベントも開催している。今年は主演の森山未來さん、『ジョゼと虎と魚たち』『カーネーション』の脚本を手掛けられた渡辺あやさん、『あまちゃん』でチーフ演出を務めた井上剛監督、プロデューサーの京田光広さんの4人が登壇した。

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(c)2010 NHK

初めにプロデューサーの京田さんが「毎年このトークイベントでは阪神・淡路大震災の当時の話になっていたが、2011年の東日本大震災、また去年の熊本地震を経て意味が変わってきた。そこで今一度この作品を通して何を考え、何を感じたかを語っていけたら」と呼びかけ。渡辺さんは「制作当初はドラマで視聴者に不幸な気持ちを呼び起こさせていいのかという議論や葛藤があった。しかし、東日本大震災を経て忘れていいものではなく私たちはその困難に向き合うしかないのだと思った」と心境の変化について触れた。また、渡辺さんは「最近、盤石だと思われていたものが段々と崩れて、世界全体に変動が起きている。表現者の持つ役割が変わってきているのではないか」と疑問を投げかけた。

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井上監督は2015年に制作した東日本大震災をテーマにした映画『LIVE!LOVE!SING! 生きて愛して歌うこと』との比較に触れ、「若者がこの世界をどう感じて、どう生きるのかというものを見つめて撮ってきたが、『その街のこども』と『LIVE!LOVE!SING! 生きて愛して歌うこと』とでは世界の情勢も変わってきている。何か相対的に苦しくなっている中で、作り手は今後何を作っていけるのだろうと考えると難しく思う」と心情を吐露した。

また、森山さんはそういった変化する世界にどうなっていきたいかという問いに「演出家が役者に演出を与え、振付師がダンサーに振付を与える。それは、上下の関係が必ずしも良い結果になるとは言えない。何かの作品を作る上では誰もがイーブンにものを言い合い、構築していく『輪』をつくるような現場に参加していきたい」と語った。

京田さんは今回のトークイベントや上映について、「こういう場が続いているのは奇跡。来年、再来年もこういうイベントを続けていけたら」と締めくくった。

『その街のこども 劇場版』は十三のシアターセブンで1月20日(金)まで上映。3月からは井上剛監督の『LIVE!OVE!SING! 生きて愛して歌うこと』も上映予定。

『その街のこども 劇場版』予告編

詳細情報
■上映日程
1月7日(土)~1月20日(金)

■映画館
シアターセブン
大阪市淀川区十三本町1-7-27サンポードシティ5F、TEL 06-4862-7733

■サイト
その街のこども 劇場版
シアターセブン