『ハッピーアワー』が国際的にも高い評価を得た濱口竜介監督の作品を一挙上映する「ハッピー・ハマグチ・アワー これまでとこれからの濱口竜介」が、大阪のシネ・ヌーヴォ、神戸の元町映画館、京都の立誠シネマで開催される。シネ・ヌーヴォでは『ハッピーアワー』上映初日の売上が同館の改装工事費に充てられる。
濱口竜介さんは映画監督。東京藝術大学大学院映像研究科で映画作りを学び、修了作品『PASSION』を制作。国内外の映画祭で上映され、その才能を評価された。
その後は、東日本大震災被災者へインタビューした『なみのおと』(2011年)や、4時間超えの長編映画『親密さ』(2012年、255分)などを制作。
中でも、上映時間5時間17分という『ハッピーアワー』は、役者の大半を演技経験のない素人が務めたこと、主演の4人が第68回ロカルノ国際映画祭で主演女優賞を受賞したことなどで話題を呼んだほか、作品の質の高さにも絶賛の声が多く、関西での上映の際も盛況となっていた。
関西の映画館関係者も、いち早くその才能に着目。2013年には「濱口竜介プロスペクティヴ in Kansai」と称して、大阪の第七藝術劇場、神戸映画資料館、京都シネマ、元・立誠小シアター、京都みなみ会館の5館で特集上映が同時開催されていた。
今回は、「これまでとこれからの濱口竜介」をテーマに、『ハッピーアワー』に至るまでの軌跡をたどるように学生時代の作品を含めた過去作品を一挙上映する。宣伝担当者は「日常を一歩だけ踏み込んだ“現実”に生きているハマグチ映画の登場人物たちは、虚構なのに現実的であり、その物語を“私たちの日常”であると信じさせてくれます」とPR。「今特集の充実したラインナップでは、その不思議なまでのリアリティーを存分に味わうことができます」と太鼓判だ。
上映作品は『ハッピーアワー』(2015年)はもちろんのこと、染谷将太、石田法嗣、渋川清彦主演の『不気味なものの肌に触れる』(2013年)、ENBUゼミナールの修了作品として作られた4時間超の『親密さ』(2012年)、東京藝術大学と韓国国立映画アカデミーの共同製作『THE DEPTHS』(2010年)、河井青葉主演の『永遠に君を愛す』(2009年)、サンセバスチャン国際映画祭で上映された『PASSION』(2008年)、大学の映画サークルで撮られた8ミリ映画『何食わぬ顔(long version)』(2003年)。さらには、『ハッピーアワー』のクラウドファンディングの特典として企画された新作短編『天国はまだ遠い』(2016年)も上映する。
また、関西圏では特別枠として、『ハッピーアワー』でプロデューサー兼共同脚本を務めた野原位さんの監督作『talk to remember』(2015年)と、同じく『ハッピーアワー』で助監督として参加した高野徹さんの監督作品『二十代の夏』(2016年)も上映される。
なお、同企画が関西で最初に上映される大阪・九条のシネ・ヌーヴォは、来年の開館20周年を前に、クラウドファンディングで改装工事費用の一部を募集している。目標額の500万円は達成済みだが、12月26日(月)まで、随時支援を呼びかけている。
『ハッピーアワー』も最初、クラウドファンディンクで制作資金を募った経緯もあることから、同企画と同館とのコラボが実現。『ハッピーアワー』の初日12月17日(土)の入場料を、全額改修費用に充当することが決定した。
「ハッピー・ハマグチ・アワー これまでとこれからの濱口竜介」は、大阪・九条のシネ・ヌーヴォで12月17日(土)から、神戸の元町映画館と京都の立誠シネマで12月24日(土)から、それぞれ実施予定。
『ハッピー・ハマグチ・アワー』予告編 |
詳細情報 |
■上映日程 ・シネ・ヌーヴォ 12月17日(土)~ ※改装のため12月19日(月)~22日(木)は休館 ・元町映画館 ・立誠シネマ ■映画館 元町映画館 立誠シネマプロジェクト ■サイト |