夭折した天才棋士村山聖さんの生涯を描いた松山ケンイチさん主演映画『聖の青春』。同作の公開を記念し、塚口サンサン劇場で11月27日(日)、指導棋士を招いた将棋教室が開催された。
塚口サンサン劇場はこれまでも様々な独自企画で注目を集めてきた映画館。インド映画に合わせて観客も歌って踊る「マサラ上映会」や、自慢の音響設備を活かし人気アニメ『ガールズ&パンツァー』の戦車が駆け巡る臨場感をフルに楽しみながら、サイリウム、クラッカー、紙吹雪を使用して観客が盛り上げる「これが本当の“塚口流戦車道”です。上映」など、今では地元関西のみならず全国の映画好きにも名の知られた存在となっている。
同館でも上映中の『聖の青春』は、「東の羽生、西の村山」と称される実在の棋士・村山聖さんの、人生をかけて向き合った将棋と難病との戦いを描いた、大崎善生さん原作ノンフィクション小説の映像化作品。
同作を通じて、実際に将棋での交流を楽しんでもらおうと開催されたのが、今回の将棋教室イベント。劇場スタッフの戸村さんは「映画館で将棋教室をするなんて、きっとうちが日本で初めてじゃないでしょうか」と話した。
13時から開始した将棋教室は、まず日本将棋連盟所属の指導棋士藤内忍さん、岡本洋介さんによる初心者向けのルール講座からスタート。イベントスペースには小学生とその保護者が多く集まり、藤内さんの冗談も織り交ぜた分かりやすい説明に熱心に聞き入っていた。実際に子供たちの手元に用意されていた将棋盤を使い、将棋の基本構えの実践や指導対局も行われ、子供たちは笑顔で将棋を楽しんだ。
イベント中盤は岡本さんによる、1995年11月に行われた第54期A級順位戦の村山聖八段と谷川浩司王将の当時の対局の解説も。参加していた小学生の中には劇場で『聖の青春』を鑑賞してから教室に来た将棋好きの子もおり、プロ棋士同士がぶつかり合う難しい局面の解説にも目を輝かせていた。「子供なら眠くなりそうなくらい難しい説明なのに頑張って聞いていて、えらい」と様子を見守っていた指導棋士からの感心の声で、会場には和やかな笑いが起こっていた。
『聖の青春』劇中では、実際の関西将棋会館や大阪・福島の食堂など、村山聖さんが将棋人生の中で慣れ親しんでいた、大阪の古き良き街並みが多数登場する。今回イベントを主導された指導棋士の二人も、関西で活動されている縁で村山さんとも交流があったといい「村山さんは普段は穏やかだが勝負事にはすごく厳しい人だった。とても純粋な気持ちを持っている方だった。一緒に麻雀をやったこともあるんですよ」と貴重な思い出を振り返った。
『聖の青春』は、塚口サンサン劇場など全国の映画館で現在上映中。同館では、12月16日(金)まで将棋教室を開放予定。開放時間は10時から18時まで。入場無料。
映画『聖の青春』予告編 |
詳細情報 |
■イベント日程 ・将棋教室開放 ~12月16日(金) 各日10時~18時 ■映画館 ■サイト |