12月1日(木)の「映画の日」を記念して、12月4日(日)、これまで「最初の映画上映の地」とされてきた京都で、「実は大阪が最初だったのでは」と呼びかける書籍の記念イベントが開催される。
『大阪「映画」事始め』は、大阪在住のエッセイスト武部好伸さんが手がけた書籍。10月に刊行されたばかりで、大阪が日本における映画上映の最初の地であることを呼びかける一冊だ。
今まで「上陸は神戸、最初の上映は京都、最初の興行は難波」というのが通説だった日本映画史。神戸でのキネトスコープの一般公開は1896年11月25日からで、翌1897年の1月に京都の実業家・稲畑勝太郎がフランスから持ち帰ったシネマトグラフと呼ばれる映写機を、京都電灯の中庭(現在は関西電力変電所と旧・立誠小学校にまたがる場所)で試写を実行。これが、日本で初めての映画の上映とされてきた。
その後2月15日、稲畑は今度は、大阪・難波の南地演舞場(現在のTOHOシネマズなんば)で有料の上映会を開催。これが映画興行の発祥とされている。
だが、同書では、1896年12月にすでに、大阪・心斎橋の西洋雑貨商、荒木和一が米国で購入したエジソン社のヴァイタスコープという映写機を、当時の福岡鉄工所(現在のなんばパークス入り口、現在の難波中交差点辺り)で試写を行ったとし、それが日本における最初の映画上映ではないかと呼びかけている。
今回は、この書籍に関するトークイベントを、もともと最初の上映の地とされてきた京都の地で実施。京都の二条・大宮に近い「おもちゃ映画ミュージアム」で、12月4日(日)の昼に著者・武部さんのトークイベントを開催する。当日は、画像をふんだんに使用しながら、当時の大阪初上映に至る当時の様子や、武部さんが同作を書くに至ったきっかけなどを紹介する。
京都の地で、「大阪が初上映では」と呼びかけるという刺激的なイベント。おもちゃ映画ミュージアムの担当者は、「資料を丹念に調べられ、その成果として突き止められた著作。事実関係を明確にし、そのことを『京都が映画発祥の地』としている京都の人々に知ってもらいたいと思いました」と話す。
「新説として世に出て、しかも注目されているのなら、取り上げるべきではないかと。京都側も、もしそうでないなら、その根拠を示して主張すれば良いのです」と太っ腹な対応だ。最後に、「神戸、大阪、京都いずれも映画について縁があります。ともかく映画の文化が、関西から始まったことは素晴らしいと思います」と呼びかけている。
武部好伸さんの講演会「映画の渡来、120年目の真相~日本の映画発祥の地は京都ではなく、大阪だった~!?」は、12月4日(日)13時30分から、京都のおもちゃ映画ミュージアムで開催予定。料金は一般=1,000円、正会員=800円。講演会の後、交流会(ソフトドリンク・おつまみ付500円)も予定している。ともに、メールかFAXで予約・問い合わせ受付中。
詳細情報 |
■開催日程 12月4日(日)13時30分~ ■料金 ■開催会場 |