映画女優やプロデューサーとして幅広く活動している杉野希妃さんの長編初監督作品『マンガ肉と僕』が、2月13日(土)から大阪・神戸・京都で公開される。
『マンガ肉と僕』(2014年、94分)は、作家・朝香式さんの同名小説を原作にした映画作品。第12回「女による女のためのR-18文学賞」を受賞した。京都を舞台に、内気な性格の青年ワタベが大学生から社会人までの8年間に出会った、タイプの異なる3人の女性とのねじれた恋愛を描いた物語。
主役のワタベ役を演じるのは三浦貴大さん。男に抗うために太り、しだいにワタベに寄生していく1人目の女性・熊堀サトミ役を杉野希妃さん、バイト先で知り合った2人目の女性・菜子役を徳永えりさん、勉強合宿で出会った3人目の女性・さやか役をちすんさんが務めたほか、大西信満さん、太賀さん、宮本裕子さん、長原成樹さん、徳井義実さんが出演している。
杉野さんが本作の監督をすることとなったきっかけは、「第5回沖縄国際映画祭」で、自身が主演とプロデューサーをつとめた『おだやかな日常』が女優賞と最優秀ニュークリエーター賞とをW受賞したこと。それを機に監督デビューが決定、「R-18文学賞」の映画化企画に参加することとなった。「候補作が5つあるので読んでみてください、とお話をいただいたのが始まりです」と杉野さん。「マンガ肉と僕」を選んだことについては「男に抗うために太るというモチーフが、女性作家じゃないと思いつかないことだと思ったし、なんて捻じ曲がっているんだろうと惹かれました。当時はまだ大賞が決まっていなかったのですが、数日後に『マンガ肉と僕』が受賞し、これは映画化するしかないということになり、とんとん拍子に話が進んでいきました」と振り返る。
ほとんどのロケが京都にて行われたこの作品。京都を選んだ理由については「1950年代の映画が好きで、当時の作品は京都での撮影が多いので憧れがあり、初監督作品を撮るならぜひ京都がいいと思っていました。実は原作には京都は出てこないのですが、リクエストしました。支援していただいた吉本興業さんも京都国際映画祭を開催されるというのもあって、実現しました」と話す。
本作には、監督・プロデューサーとしてだけでなく、出演者としても携わっている杉野さん。
3人の女性の中からサトミとして出演した理由を尋ねると「全員に共感できるところはあったのですが、中でもサトミに一番共鳴したので」という答えが返ってきた。サトミは、太っているシーンと痩せているシーンとがあるが、太っているシーンは特殊メイクで出演したという。「監督としては6時に集合してセッティングをしなければならない日が多かった。でも特殊メイクも必要なんで、もっと朝早くに起きてメイクをして、特殊メイクのまま監督をしてたこともありました」と撮影時のエピソードも明かしてくれた。
監督と役者を兼ねるという一筋縄ではいかない役割をこなした杉野さん。「いままではプロデューサー兼役者というパターンが多かったのですが、その場合は監督に委ねればよかったんです。でも自分で監督をすると、画作りをするために客観的に観なければならない。それが一番大変でした」と苦笑。演じてみてしっくりこない時は、わざわざモニターチェックをしなくてもわかったといい、チェックもせず「もう1回やらせてください」とお願いして再撮影、なんてことも多かったとか。「スタッフは大変だったと思います」と笑う。
しかし、大変なことばっかりではなく、「こんなに楽しい現場があるんだというくらい、今までの中で一番楽しく、ウキウキでやっていました」と満面の笑顔に。「もう大変さは吹き飛んでいます」と誇らしげに語ってくれた。
「いろんな人に観てもらいたい映画ですが、あえて言うなら20~40代の女性かな。でも、男性にももちろん観てほしい。ワタベに共感する人もいるでしょうし、クラシカルな雰囲気もある。高校生などの若い人にも楽しんでいただけるのではないかと思っています」という。
映画『マンガ肉と僕』は、2月13日(土)から、大阪・九条のシネ・ヌーヴォと京都みなみ会館、神戸の元町映画館で上映開始。
シネ・ヌーヴォでは初日に杉野希妃さんの舞台挨拶も予定されている。
『マンガ肉と僕』予告編 |
詳細情報 |
■上映日程 ・シネ・ヌーヴォ 2月13日(土)~ ・京都みなみ会館 ・元町映画館 ■映画館 京都みなみ会館 元町映画館 ■サイト |