香川県の浦島伝説をモチーフにしたファンタジー青春ドラマ『竜宮、暁のきみ』が、大阪・第七藝術劇場で11月8日(土)より上映。京都みなみ会館でも上映予定。
『竜宮、暁のきみ』(2013年、94分)は、自然豊かな香川県の荘内半島を舞台に、同地に残る浦島伝説をモチーフにした青春ファンタジードラマ。東京の大学に通う浦浜太郎が故郷の香川に帰って再会した親友の浪越正彦。しかし、海で遊んで溺れてしまった太郎を助けようとした正彦が命を落としてしまう。それから1年後、親友を失った悲しみで無気力な毎日を過ごしていた太郎の前に、乙武みずきという不思議な少女が現れる・・・というストーリー。主演は石田法嗣さん、谷内里早さん。香川県出身の松本明子さん、西山浩司さんといった共演者たちが脇を固める。
全編香川でロケを行って製作された同作。監督の青木克齊さんは、これが初長編デビューとなる。日本大学芸術学部出身で大学卒業後はテレビドラマの現場に携わっていた。その後、『半落ち』『ツレがうつになりまして。』などを手がけた佐々部清監督らのもと、映画作りを学んだ。
もともと映画を志していたという青木さん。香川県のさぬき映画祭が企画を募集しているのを見つけて、「香川には浦島太郎伝説が残っている。これを映画にできるんじゃないか」と発想し、企画を応募した。「浦島伝説が、昔話の中で一番興味があった。いいことをしたはずなのにしっぺ返しのようなことを食らうのが、子ども心にずっと引っかかっていた」と話す。
劇中では、人形浄瑠璃文楽座の人形遣い、吉田文司さんや讃岐源之丞保存会の協力を得て、浦島太郎の人形浄瑠璃も披露。香川に残されている人形浄瑠璃の技術と浦島太郎を融合させようと、本来は無い「浦島太郎」の演目を創作し、実現させた。
「全国にたくさん浦島伝説はあるけど、ここでは半島全体に痕跡が残ってたり、地名自体が浦島伝説をもとにしていたりする。そういう地域の魅力を大きく伝えたいなと思いました」と話す。
佐々部監督からは「芝居を大事にする」姿勢をから学んだという青木さん。技術的なところももちろんだが、まずは生の俳優の表情や演技を大事にするというスタイルを、初監督ながらも実践していった。「芝居は生き物。その瞬間瞬間で代わるので、その良いところを捕まえていきたいと思いました」。濃い芝居ではなく、肩の力を抜いて自然に演じてもらうよう、演出を付けていった。
「今の時代、みんなあくせくしていたり、大事なことを見失ったりすることも多いと思います。その時にこの話で感じたことから、見つめ直してもらえたら」と呼びかける青木監督。「みんな失敗続きで、夢はかなわないことの方が多い。でもその中でも生きていかなければいけない、ということを伝えたい。浦島太郎も老人になって自分の人生はなんだったんだろう、と思い返したはず。そう言う風に振り返る中で、未来への希望、一瞬の光みたいなものを伝えられたら」と期待を寄せている。
映画『竜宮、暁のきみ』は、大阪・十三の第七藝術劇場で11月8日(土)から21日(金)まで、京都みなみ会館で11月24日(月・祝)から12月5日(金)まで、それぞれ上映予定。来場者には日替わりで香川県の特産品のプレゼントも行われる。
『竜宮、暁のきみ』予告編 |
詳細情報 |
■上映日程 第七藝術劇場 11月8日(土)~21日(金) 京都みなみ会館 ■映画館 京都みなみ会館 ■サイト |