関西で『銀座並木通り~クラブアンダルシア~』の上映がスタート。大阪・十三のシアターセブンで9月27日(土)、原作者の倉科遼さん、受験アドバイザーでも有名な和田秀樹監督らが舞台あいさつを行った。
『銀座並木通り~クラブアンダルシア~』(2014年、92分)は、松方弘樹さん主演、銀座の夜を舞台にした映画作品。銀座で数少ない男性オーナーとして、奥澤健司が支配人を務める「クラブ・アンダルシア」に、ある日ひとりの男が現れる。初めての銀座に戸惑いつつ、接客を受ける彼は、隣席のひとりの女、ベテランホステスの恭子を見つめていた・・・というストーリー。
原作は、倉科遼さん。「女帝」「嬢王」「夜王-YAOH」など、夜の街を舞台にしたマンガの原作者として知られている。監督は和田秀樹さん。和田さんは著名な精神科医であり、かつ受験アドバイザーとしても活躍。「受験の神様」と呼ばれこともある。初監督作品の『受験のシンデレラ』がモナコ国際映画祭で高い評価を得て、現在は映画監督としても活動している。
上映初日となった9月27日(土)には、シアターセブンに倉科さん、和田監督、さらにプロデューサーの井内徳次さん、制作協力の中島佳始子さんが登壇。それぞれの本作にかける思いを語った。
倉科さんが「予算的な制約がある中でよく撮っていただいた。素晴らしい出来」と話すと、和田監督は「これまで受験や介護の映画をとったけど娯楽作品も撮りたかった。今回こういう機会を得たので、娯楽性の高い作品を作れたのではと思っている」と自信をのぞかせた。
銀座という街に対して和田監督は「みんな名前は知っているけど、どういう街かはわからないもの。いろんな想像をしているだけ。そこをリアルに描きたくて、倉科さんにしつこく取材しました」と話す。松方さんが演じた奥澤健司さんは、実在の人物で、銀座の顔役ともいうべき人。最盛期には何店舗も運営していたという。
今回、こうした夜の街をリアルに描きながら、気を付けたことについて倉科さんは、「ある人に『もっと銀座のリアルなドロドロした話を描いてもいいんじゃない』と言われたんですが、それを描くと誰も銀座に来ませんよ、と(笑)。お金がらみのドロドロした話だったり、詐欺まがいのことだったり。それよりは、普通のサラリーマンと銀座のママが恋をする、なんて夢、ファンタジーも描きたかった」と思いを語った。
さらに、大阪の十三との深いかかわりについても披露。出世作となった「女帝」の主役の立花彩香が、熊本から出てきて最初に夜の街に入るのが十三だという。「『女帝』の前に、旅をしていて立ち寄り、印象に残った街だったんです。その十三で、こうやって映画を公開していただけるのがうれしくて、約30年ぶりに来ました」と肩を震わせた。
和田監督は、いちばん憧れる監督に伊丹十三を挙げ、「ある1つの世界を掘り下げて、その世界について理解した気にさせてくれる。そして最後はだいたいハッピーエンドで結ばれる。観ていて賢くなるのに、ちゃんと映画のファンタジーができている」と絶賛。「倉科さんのこの作品も同じなんです。ちゃんとリアルな世界を描きながら映画的なファンタジーも盛り込まれている、それが素晴らしい」と語った。
今後についての話も飛び出した。この映画を制作した縁で知り合った倉科さんや和田さんらが、東京シネマアカデミーという会社を設立。今後、和田監督らを中心にどんどん映画を撮っていく予定だという。「大きな劇場でなくても、ゆっくり見てもらって、長く愛される作品をつくっていきたい」と意欲を見せた。
『銀座並木通り~クラブアンダルシア~』は、現在大阪のシアターセブンと京都の立誠シネマで上映中。シアターセブンでは10月10日(金)まで、立誠シネマでは10月3日(金)まで上映される。
予告編 |
詳細情報 |
■上映日程 シアターセブン 9月27日(土)~10月10日(金) 立誠シネマ ■映画館 立誠シネマプロジェクト |