かつて前衛芸術団体「具体」に参加し、いまはリヤカーで自著を売り歩く金木義男さんの生き様を描いた『ろまんちっくろーど~金木義男の優雅な人生~』が、大阪のシアターセブンで公開される。
『ろまんちっくろーど~金木義男の優雅な人生~』(2014年、100分)は、ドキュメンタリー映画。大阪の日本橋でリヤカーを引き、「宇宙人のツッコミ」という自著を売り歩く老人、金木義男さんの日々を、大阪で活動する映像作家の今井いおりさんが撮影した。彼の破天荒な日々や考え方に触れながら、大阪で実施されているアートイベント「おおさかカンヴァス」への挑戦、胃ガンの発覚などを経て、それでも日々を独自の感覚で楽しく過ごす様子を映しとっている。
もともと偶然の出会いから好奇心を抱き、金木さんの撮影を始めたという今井さん。
「本を売ることより、人との出会いを大切にしている人なのかなと思った」といい、それがどんどん尊敬の念に変っていったという。途中のある印象的なシーンの撮影では、「金木さんに打ちのめされた。かなわない、足元にも及ばないなと思った」と振り返る。
実は具体美術協会、通称「具体」と呼ばれる関西の戦後の前衛的な芸術団体に出入りしていたという金木さん。その後会社員になるも、その合間に長年かかって、哲学書をしたためた。夢は、戦争や食料危機など、人間がもたらす様々な問題の解決。そして今、日々リヤカーを引き、大阪を巡回する。ある時は本を売り、ある時は自説をスピーチする。現在77歳だが、体力は若者にもひけを取らない。
最初は40分バージョンを仕上げたという今井監督。金木さんは「40分版では、こんな人間じゃない、と言ってたけど、90分にわたって見せられたら、ああやっぱりこんな人間なんかな、と。弁解の余地は無いです」と笑う。
昔の具体についても話が及ぶと、金木さんは「こうやって自分がやっていることは、世界中探してもそうそういないと思う」と語る。「それは、具体の代表の吉原治良さんが『人のマネをするな』と言ってたことに重なるんじゃないかと。まだ生きていたら、興味を持ってくれたんじゃないかな」と話した。
「創作活動に取り組む人にとくに観てほしい。観てもらったら絶対面白いと思う」と語る今井監督。その横で金木さんは、「観にくる人がいるとは思えないけどなあ」と笑った。
『ろまんちっくろーど~金木義男の優雅な人生~』は8月2日(土)から8月15日(金)まで、大阪・十三のシアターセブンで上映。
8月2日(土)と3日(日)の上映後には金木さんと今井監督が舞台挨拶を実施するほか、2日(土)には、テーマソングを手がけたよしこストンペアさんのミニライブも行われる。
※追記情報
好評につき上映期間延長が決定。シアターセブンで8月22日(金)まで上映予定に。
『ろまんちっくろーど~金木義男の優雅な人生~』予告編 |
詳細情報 |
■上映日程 8月2日(土)~8月 ■映画館 |