40年前にベトナムで撮影された映画『ナンバーテンブルース さらばサイゴン』が京都の立誠シネマプロジェクトで上映中。7月5日(土)には監督の長田紀生さんらが舞台あいさつを実施した。
『ナンバーテンブルース さらばサイゴン』(2012年、90分)は、ベトナムで全編撮影された映画作品。1974年12月から翌年4月までというベトナム戦争末期に制作された。南ベトナムのサイゴンで暮らす日本人商社員の杉村俊夫(川津祐介)が、現地雇いのベトナム人を殺してしまうところから、追われる身となり、ベトナムを脱出しようとする姿を描く。
監督・脚本は、『修羅雪姫』『犬神家の一族』などを手がけた長田紀生さん。
撮影してから様々な事情が重なり、37年間お蔵入りになっていたが、2012年秋にようやく完成。国内外の映画祭に招待され、日本と日本人に対して大きな疑問を投げつける作品内容などが、高い評価を受けた。
観客の拍手の元登壇した長田さんは、2012年の夏に、ネガが残っていることを知り早速試写を行った思い出を披露。「フィルムがズタズタでもうダメじゃないかと思いましたが、これは非常に生命力の強い映画でした。デジタル化という技術のおかげで生き返ってくれました」と話した。
「この映画を今の日本で上映することにどれだけの意味があるのか、ということを当然考え、悩みました」と話す長田さん。「震災があって、いままで突っ走ってきたことが正しかったんだろうか、と多くの日本人が考えるようになりました。でも3年経ってまたおかしな方向に向っているように思います。そうした状況に、すこしでもいいからぼくたちが冷や水をぶっかけたかった。日本人がどこに向おうとしているのか、ということを問いかけているこの映画を、いまだからこそ公開したかった」と思いを語った。
『ナンバーテンブルース さらばサイゴン』は、現在京都の立誠シネマプロジェクトで上映中。7月18日(金)まで。
予告編 |
詳細情報 |
■上映日程 7月5日(土)~7月18日(金) ■映画館 |