韓国現代史最大のタブーと言われた「済州島四・三事件」の凄惨な真実を、全編モノクロの映像で描く映画『チスル』が、シネマート心斎橋、京都シネマ、シネ・ヌーヴォで順次上映される。※第七藝術劇場、元町映画館でも上映日が決定。
映画『チスル』(2012年、108分)は、韓国・済州島出身のオ・ミヨル監督が制作した、実際の事件に基づいた作品。
第二次世界大戦終結後の1948年に、現在の韓国統治下にあった済州島の島民が、南北統一を訴え蜂起。それをきっかけに島外から軍隊などが送りこまれ、島民3万人が虐殺されたという「済州島四・三事件」を描いており、2012年のサンダンス映画祭や釜山国際映画祭で多くの賞を受賞するなど、高い評価を得ている。
この事件は21世紀になるまで、韓国の現代史ではタブーとされてきており、すでに被害者が高齢化している今、オ・ミヨル監督は「この事実を共有するのは今しかできない」と話す。
「たとえば、銃撃であごの骨が砕けたため、てぬぐいでずっと顔を保護しているおばあさんがいました。この事件の象徴的な人物だったのですが、この方も数年前に亡くなりました。それを見て、芸術家として何かできないと思ったのです」と振り返る。
いまでは観光地として訪れる人が多いという済州島については、「ほんとうに美しい場所」と絶賛するオ・ミヨル監督。「でもそういう人の思いを一度消し去りたいと考え、あえてモノクロで描きました。また、祭事を進行するように映画を作ったので、それもまたモノトーンが重要なテーマとなっています」と話す。
最後に日本人の観客に向けて、オ・ミヨル監督は「この映画は、人間を扱ったドラマ。国と国の境を越えて、同じ人間として観ていただければと思います」とコメント。
コ・ヒョッチンプロデューサーは、「実際に起きた事件を扱った作品ではありますが、戦争についても語っており、共感していただける部分も多いのではと思います。国家権力による住民虐殺、という事件が再び起こらないようにという思いが伝われば」と期待を寄せた。
映画『チスル』は、大阪・アメリカ村のシネマート心斎橋で3月29日(土)から、京都・烏丸の京都シネマで4月12日(土)から、大阪・九条のシネ・ヌーヴォで4月19日(土)から、それぞれ公開されるほか、神戸の元町映画館でも近日上映される。
※4月17日追記
第七藝術劇場で5月17日(土)から、元町映画館で6月14日(土)から、上映が決定しました。布施ラインシネマでも6月に上映されます。
予告編 |
詳細情報 |
上映日程 |
シネマート心斎橋 3月29日(土)~4月18日(金) 京都シネマ シネ・ヌーヴォ 第七藝術劇場 元町映画館 布施ラインシネマ |
映画館 |
シネマート心斎橋 (大阪市中央区西心斎橋1-6-14ビッグステップビル4F、TEL 06-6282-0815) 京都シネマ シネ・ヌーヴォ 第七藝術劇場 元町映画館 |
サイト |
映画『チスル』公式サイト http://www.u-picc.com/Jiseul/ シネマート心斎橋 http://www.cinemart.co.jp/theater/shinsaibashi/ 京都シネマ http://www.kyotocinema.jp/ シネ・ヌーヴォ http://www.cinenouveau.com/ 第七藝術劇場 http://www.nanagei.com/ 元町映画館 http://www.motoei.com/ |