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衝撃の2児餓死事件に着想 『子宮に沈める』大阪で上映へ

大阪の児童遺棄事件に着想を得て制作され、「ネグレクト」と言われる児童虐待や育児放棄をテーマにした映画『子宮に沈める』が、大阪・十三の第七藝術劇場で上映される。

子宮に沈める1
『子宮に沈める』監督の緒方貴臣さん

大阪で2010年に発生した、2児餓死事件。3歳女児と1歳9カ月の男児が、母親の育児放棄によって餓死したこの出来事は、日本中に衝撃を与えた。
緒方貴臣監督最新作『子宮に沈める』(2013年、95分)は、この事件を下敷きにしながら、社会全体をおおう問題の一つである「ネグレクト(児童虐待・育児放棄)」に切りこむ作品。公開前から、そのセンセーショナルなタイトルや内容が多くの話題を呼んでいた。
内容は、2児の母親が離婚し、シングルマザーとして育児をしながらも、育児に疲れ子どもたちをないがしろにしていく様子を淡々と描く物語となっている。

子宮に沈めるa
(C)paranoidkitchen

「受身で観てほしくない作品だと思っています。ニュースと同じで、観るだけじゃなくて、観て考えて想像して、というのを大事にしていきたい」という緒方監督。今作で、マンションの中だけに絞って映していることについては、「子ども目線を表現したかった」からだそうだ。
さらには「家の中というのは、他の人からは想像するしかない部分。ドキュメンタリーでなくフィクションを撮るなら、“どこにでもある家庭の内側”を描きたかった」と話す。
母親像についても特殊な例として限定したくなく、多くの人に当てはまる母親像を描きたかったという。「お母さんというイメージで、多くの女性が母性に閉じ込められている、つまり“子宮に沈められている”ことに焦点を当て、その象徴としての家庭を映しとりたかった」緒方監督はそう話す。

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(C)paranoidkitchen

映画『子宮に沈める』は1月25日(土)から2月7日(金)まで、大阪・十三の第七藝術劇場で上映される。
「あのショックな事件が起きた大阪という土地で、今作を公開できることが感慨深い」という緒方監督。「観終わったあと、楽しく談笑できずに無言で帰ってしまうような、日常にも残る作品にしたいと思っています」と抱負を語った。

大阪の事件を下敷きにしたこの映画が、関西の人にどうとらえられ、どういう論議を呼ぶのか。
ぜひ一度、劇場で目撃して、社会の問題について考えてほしい作品だ。

予告編

詳細情報
上映日程 第七藝術劇場
 1月25日(土)~2月7日(金)
映画館 第七藝術劇場
大阪市淀川区十三本町1-7-27サンポードシティ6F、TEL 06-6302-2073)
サイト 『子宮に沈める』公式サイト
http://sunkintothewomb.paranoidkitchen.com/
第七藝術劇場
http://www.nanagei.com/