阪神・淡路大震災から19年。1月16日(木)夜、大阪・十三のシアターセブンで、『その街のこども 劇場版』のトークが行われ、井上剛監督、脚本家の渡辺あやさん、京田光広プロデューサーが登壇。撮影時の思いや、いま思うことについて語り合った。
登壇する京田プロデューサー(写真左)、渡辺さん(中央)、井上監督 |
『その街のこども 劇場版』は、もともと阪神大震災15年の節目に、NHKで放送されたテレビドラマ。神戸出身の森山未來さんと、神戸での被災経験を持つ佐藤江梨子さんが、等身大の「被災者の若者」を熱演。1月16日の夜に出会い、17日朝の「震災のつどい」におもむくまでを描く作品で、放送文化基金賞など多くの高い評価を得ている。
今回シアターセブンでは、1.17前日となる16日夜に特別上映を実施。『あまちゃん』でもチーフ演出を務める井上監督、『ジョゼと虎と魚たち』や『カーネーション』の脚本も手がけた渡辺さん、そして京田プロデューサーという制作者らが集結した。
補助席を出すほどの満席となり、多くの人が3人の話に聞き入った。
満席となった会場 |
「いろんなところで上映されつづけている作品になった。このシアターセブンでも毎年かけていただいていて、すごくうれしい」と話す井上監督。渡辺さんは「東日本大震災のあと、作品の意味が変化したかどうかをよく聞かれます。でも去年まではうまく答えられなかった」と振り返った。
同作の企画が立ち上がった当初、まず「震災を忘れないように、というけど、ほんとうに忘れてはいけないものなのか」を考えるところからスタートしたと話す渡辺さん。「あの時は、2度と起きないことだから忘れてはいけないものだと考えていました。でももう1回、あんなことが起こってしまった。忘れる忘れないではなく、“考えないといけないこと”に変わったんだと感じました」と、4年の間に変化した心境を吐露した。
(c)2010 NHK |
京田プロデューサーは、「震災のことではなく、ああやって集いに集まる人たちのたたずまいのようなものを残すことが大切だったと考えています」と話す。井上監督は、「作品を観終わったあと、神戸でも自分の住むところでも、街の見え方がすこし変わるかもしれない。そうした違いを感じ取ってもらえればいいなと思います」と締めくくった。
トークの最後には質疑応答の時間も設けられ、「主演2人の関係の描き方」や、「作品の後日談」などについての意見が投げかけられたほか、撮影時の裏話、こぼれ話も飛び出した。トーク終了後、西宮から訪れたという女性は、「初めて観ましたが、ほんとうにいろんなことを考えさせられる作品。話も聞けて良かった。来年再来年もずっと考えていきたいと思います」と話した。
今日、1月17日(金)で19年目を迎える阪神大震災。
本作を観賞して、今一度、さまざまなことに思いをめぐらせてみてはいかがだろろうか。
『その街のこども 劇場版』は、1月24日(金)まで大阪・十三のシアターセブンで上映中。
■サイト
『その街のこども』公式サイト
http://sonomachi.com/
シアターセブン
http://www.theater-seven.com/
“1.17”から今年で19年―シアターセブンで『その街のこども』再上映
http://www.cinepre.biz/archives/9199