もともと学生と映画祭、というのは強い親和性を持ちます。
大学や専門学校、高校に文化祭があるように、学生たちが高いモチベーションを保って、映画祭の運営に力を注ぐ。1・2週間のイベントに合わせて、長ければ1年間、全力疾走でぶつかっていく。
そうした学生と映画祭の“密”な関係は、いまにはじまったことではありません。
ですが2013年は、いつにもまして、その関係性が濃かったように見受けられました。
まず、京都の地で2つ。
1つは、2013年に16回目を迎えた「京都国際学生映画祭」。もともとは1997年の京都映画祭の一企画として学生映画を上映したことからスタートしました。
いまでは毎年、国内外から多数の学生映画が応募されるイベントに。運営にも多くの学生たちが携わり、国内最大級の学生映画祭として活況を呈しています。
■京都国際学生映画祭の開催迫る 選りすぐり16作品を一挙上映 http://www.cinepre.biz/archives/8309 |
同じく京都の地で行われているユニークな映画祭もあります。
その名も、「祇園天幕映画祭」。
毎年7月の祇園祭に合わせて、歩行者天国となる京都の四条通り。ここにスクリーンを配置し、歩行者に無料で観てもらおう、という試みです。
もともと祇園商店街振興組合と京都造形芸術大学で映画制作を教える林海象さんが提携しスタートしたことから、有志で構成される実行委員には若い学生の姿も多く見られます。
■路上4スクリーンで多彩な作品上映 祇園天幕映画祭開催 http://www.cinepre.biz/archives/7195 |
神戸でも新しい試みが始まっています。
1996年から続く神戸100年映画祭。新しい可能性となる若い息吹を吹き込もうと、2012年から「未来の神戸映画プロジェクト」がスタートしました。
これは、神戸市民のカンパなどにより、神戸100年映画祭内で上映する短編映画を制作するというものです。
1回目は京都の映画製作団体月世界旅行社と、神戸芸術工科大学の学生らで2本の作品を制作。
2回目となる2013年には、神戸芸術工科大学卒業生2人による共同制作体制のもと、同大学の学生らがふたたび短編作品を完成させました。
■「未来の神戸映画」今年も完成 若手監督の青春映画が上映へ http://www.cinepre.biz/archives/7988 |
そして最後に、宝塚です。
10大ニュースでもとりあげた宝塚映画祭で、2013年に学生企画が立ち上がりました。
「学生がつくる、宝塚映画」プロジェクトと題し、宝塚で製作された往年の名作映画を、学生たちの手でリメイクさせる、というものです。
企画会議を経て、モチーフ作品は加山雄三さん主演の人気作『海の若大将』に決定。このために集まったチームが、初対面も多い中で奮闘。学生らしいアレンジを加えながら、短編作品をつくりあげました。
■若者が名作宝塚映画をリメイク 宝塚映画祭で学生企画始動 http://www.cinepre.biz/archives/6065 |
各地でわきあがりつつある、学生たちの気鋭の試み。
今年はどんな情熱が、関西で華ひらくのでしょうか。
生粋の映画ファンじゃない学生たちもたくさん参加して、それぞれができることに力を発揮していました。 その中から、将来の映画シーンを支える人たちが生まれていくのかもしれません。 |