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映画から広がる世界(テアトル梅田)

テアトル梅田からの寄稿です)

みなさん、映画観てますか?
どうも、北区茶屋町の梅田ロフト地下1Fにありますテアトル梅田です。

映画を観ると、色んな世界が目の前に広がって自分の知らないことや自分の価値観とは違うものが世の中にはたくさんあるということを教えられますよね。今回、私が映画によって影響を受け、自分自身が少しだけ変化したことについて書いてみたいと思います。わざわざ書くほどのことかい!というツッコミが入るくらい他愛もない文章ですが、お暇つぶしに読んでいただければ幸いです。

「ラモーンズが私の人生を変えた」

昔から私が聞いていた音楽はソウル系のブラック・ミュージックが主で、あまりロック系の音楽を聞いていませんでした。と言うのもロック・ミュージシャンはギターをステージに叩きつけたり燃やしたりするしロック・フェスティバルではファン同士でケンカや暴動が起きたりして、ロックという音楽が野蛮で粗野でうるさいものだというイメージがあったからです。ひいてはそんなロックが好きな人、特にロックTシャツ着てロン毛な人には怖い・短気・暴れん坊というイメージがずっとあり、気弱な私はロックの道を避けてきたと言っても過言ではありません。

そんなある日、ラモーンズのドキュメンタリー映画『エンド・オブ・ザ・センチュリー』をテアトル梅田で上映することになりました。

ラモーンズと言えばアメリカを代表するパンク・バンド。パンクはまさにギターをあちこちに叩きつけたり、物を壊して唾を吐きまくる人たちの音楽です。(イメージ)
そんな苦手な音楽ジャンルの映画ですが映画館も宣伝をしなければなりません。どうやって宣伝しようかと困惑しながらも、まずは近隣のファッション・ビルのショップにチラシを撒きに行きました。
黒い革にトゲトゲの鋲が付いてるような服を置いているいかにもパンクなお店や、飾ってる服はそうでなくても店内のBGMにロックやパンクが流れているお店を選んで、店員さんに恐る恐る声をかけてみました。
最初は訝しげな険しい表情で私の説明を聞いていた店員さんもラモーンズの映画のことだと分ると表情が一変、優しく嬉しそうな笑顔で応えてくれるではありませんか。
色んなお店でそういった反応が続くうち、(特に女性の店員さんですが)わざわざ髑髏の書かれているTシャツを着たり髑髏の指輪やネックレスを身に付けているのは相手を威嚇するためではなく、もしかして単純に可愛いと思って着てるんじゃないかと思うようになりました。つまり「髑髏」ではなく「ドクロ♥」。

そんな心境の変化の後に『エンド・オブ・ザ・センチュリー』を観たのですが、パンクという音楽が私の予想に反して非常にポップだし、ラモーンズのメンバーは全然怖い人たちではなく、むしろ面白い人たちであることが分かってとても驚きました。
メンバーたちはヒット曲が欲しくて欲しくて堪らず名プロデューサーを起用するもことごとく失敗。アメリカのライブハウスで数十人の前で演奏、でもブラジルとか他の国では熱狂的な何万人ものファンの前で演奏、また本国に戻って数十人の前で演奏というような落差あり過ぎの面白エピソードがたくさんあって、一気に自分の中のパンク、ロックに対する誤った固定概念が崩れ去りました。

これをきっかけに、当館で上映したクラッシュ、セックス・ピストルズ、メタリカ、ニルヴァーナ、ジョー・ストラマーなどのロック・ドキュメンタリーの作品は好んで観るようになりました。更にロックが流れるBarを探しては出かけ、今まで苦手と感じていたロック好きな人たちと話をするようになり、違う価値観、色んな意見や考え方を聞くことが出来るようになりました。ほんの些細なことですが、私にとってはとても大きな変化でした。

勿論、ロック音楽というジャンルだけでなく、世界中にはありとあらゆるジャンルの映画が存在しています。興味がなくても苦手な分野でもきっとあなたの頭と心の栄養になる良い作品があると思いますので、食わず嫌いせず色んな映画を観て欲しいと思います。食事と一緒で偏食にならないようバランス良くが大事ですね。

という事で、以上が「ラモーンズが私の人生を変えた」すなわち「映画が私の人生を豊かにしてくれた」というお話でした。

最後に、これからテアトル梅田で上映する2つの作品をご紹介させて下さい。
7/6(土)公開『遠くでずっとそばにいる』と7/13(土)公開『じんじん』です。
『遠くでずっとそばにいる』はオール秋田県ロケの映画。『じんじん』は宮城県の松島や北海道の剣淵町が舞台の映画です。
映画館に居ながらにして色んな街や都市、国へ旅することが出来るのも映画の魅力ですよね。梅雨のこの時期は外に出るのが億劫になるかもしれませんが、是非映画館にお出かけいただき素敵な映画旅行を楽しんで下さい。

ご来場をお待ちしております。

遠くでずっとそばに
『遠くでずっとそばにいる』
じんじん
『じんじん』

『遠くでずっとそばにいる』
http://遠くでずっとそばにいる.com/index.html
『じんじん』
http://www.jinjin-movie.com/