神戸映画資料館で6月22日(金)から、「キング・オブ・カルト」と呼ばれた石井輝男監督の特集上映が行われる。
石井輝男監督は1924年生まれ。清水宏や成瀬巳喜男などの下で助監督をつとめる。『リングの王者・栄光の世界』(1957)で監督デビュー。代表作は『花と嵐とギャング』(1961)、『黒線地帯』、『黄線地帯(イエローライン)』(1960)、「網走番外地」シリーズ(1965-67)など。
「異常性愛路線」で再評価され、「キング・オブ・カルト」と呼ばれ人気を博した。90年代に石井プロダクションとして復活し、3作品を自主製作。今回はその3作の特集上映となる。
『ねじ式』(C)石井プロダクション |
1作目はリリー・フランキー、塚本晋也らが出演した『盲獣vs一寸法師』(95分、2001)。江戸川乱歩の「盲獣」「一寸法師」を原作にした猟奇ミステリー。石井輝男監督の遺作となった。
2作目は『地獄』(35分、1999)。カルト教団、連続幼女殺害事件、毒入りカレー事件など、日本の実際の事件の犯人が地獄で裁かれる、という異色のストーリー。
そして3作目は、カルトな人気を誇る漫画家・つげ義春の4作(「別離」「もっきり屋の少女」「やなぎ屋主人」「ねじ式」)をオムニバス形式で映画化した『ねじ式』(35分、1998)。主人公の売れない漫画家ツベを浅野忠信が演じている。
また同時に6月23日(土)には、「キネマ旬報」で映画時評の連載を持つ映画評論家・山根貞男さんの「活劇論講座」も開講する。
今回の特集上映について、神戸映画資料館担当者は「『盲獣vs一寸法師』の35ミリプリントが新たに作られたと聞き、石井監督亡き後のプロダクション関係者の、作品を大切に思う気持ちが伝わってきて、ぜひ上映したいと考えました」と話す。作品については「作りの安っぽさがかえって石井監督の演出力を際立たせていると思う。石井ファンはもとより、映画を自主制作している人にも見てもらいたいです」とアピール。「デジタルの進歩により低予算でも商業映画のようなスマートな作品が多く作られているが、石井監督が60歳を過ぎてから作ったこれらの『やりたい放題』な作品も、ぜひ見てもらいたい」とも話している。
■上映日時
6月22日(金)~24日(日)
・22日 19:00~『盲獣vs一寸法師』
・23日 13:00~『ねじ式』 16:30~『盲獣vs一寸法師』
・24日 13:00~『盲獣vs一寸法師』 14:55~『地獄』 16:55~『ねじ式』
山根貞男 連続講座 6月23日(土) 14:40~
■料金
一般1200円 学生・シニア1000円 会員1000円 会員学生・シニア900円
※2本目は200円引き
連続講座は一般:1500円 学生・シニア:1300円 会員一般:1300円 会員学生・シニア:1200円
※講座参加者は当日の映画鑑賞料が1本目から200円引き
■上映場所
神戸映画資料館
(神戸市長田区腕塚町5-5-1、TEL 078-754-8039)
■サイト
神戸映画資料館
http://kobe-eiga.net/