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想田和弘監督が選出 十三で戦争とファシズム映画祭

大阪・十三の第七藝術劇場で11月30日(金)から「戦争とファシズム映画祭」が開催され、ドキュメンタリー監督の想田和弘さんが選出した作品10本が一挙上映される。12月2日(日)まで。


想田和弘監督(写真左)と「大阪ええじゃないか」の湯浅さん(中央)ら。

11月23日(金・祝)から始まったフェスタ「大阪ええじゃないか」の一環として開催される。
想田和弘さんは、ドキュメンタリー映画監督。『選挙』『精神』『演劇1・2』など「観察映画」シリーズを発表し、社会問題や政治情勢に肉迫してきた。今回は古今の映画作品の中から、想田さんが選んだ10本を上映する。テーマは戦争映画、もしくはファシズムを描いた映画。

想田さんは、「近年、独裁的な強い指導者や対外への強硬策を求める声が、日本で強くなっていることを感じています。でも私を含めて、実際にファシズムや戦争を体験せずに育ってきた人ばかり」と話す。そのため、理屈ではなく体感できる作品を10本を選出したという。「この名作たちを見て、戦争やファシズムについて考え、語り合う機会を持ってほしい」と訴える。


「戦争やファシズムを映画で体感して、考えるきっかけにしてほしい」と話す想田監督

上映されるのは、第1次世界大戦中のドイツ軍捕虜の脱走を描いた『大いなる幻影』(1937年)、第2次世界大戦終結時の北イタリアが舞台の『カーネーションの卵』(1991年)、同じく第2次大戦中日本軍に支配されたパプア・ニューギニアのドキュメンタリー『戦場の女たち』(1989年)、ベトナム戦争の実態をあばき社会現象ともなった『ハーツ・アンド・マインズ / ベトナム戦争の真実』(1974年)、映画活動を禁止され軟禁された監督が制作し話題を呼んだ『これは映画ではない』(2011年)、アメリカで実際に行われた独裁の心理実験を映画化した『THE WAVE』(2008年)、天皇の戦争責任を追及するアナーキストを追ったドキュメンタリー『ゆきゆきて、神軍』(1987年)。そして南満州の鉄鋼会社と戦争の実態に迫った大作『人間の條件』の第1部~第3部(1959年~61年)。


『人間の條件 第1部・純愛篇/第2部・激怒篇』(c)1959松竹

想田監督は「どれも、戦争やファシズムが体感できる素晴らしい映画」と太鼓判を押す。中でも『人間の條件』は、「映画という枠を飛び越えた、人類の遺産ともいうべき作品」と大絶賛。3部が連続で上映される機会はめったにないといい、「この機会にぜひ、この傑作を味わってほしい」と話す。
また、学生たちが廃止の検討が進んでいる公共施設を巡り、その実態を記録した映像作品『大阪!なくなる?ツアー』シリーズの併映も行われる。

開催期間は11月30日(金)から12月2日(日)まで。場所は大阪・十三の第七藝術劇場。
毎回上映後には想田監督らも参加するトークショーを開催。専門家や作品の作り手たちの意見を交えながら、戦争とファシズムについて観客に問いかけていく予定。

■開催日程
11月30日(金)~12月2日(日)

■料金
一般・専門・大学生1,500円
中・高・シニア・会員1,000円
4プログラム券4,800円

■開催場所
第七藝術劇場
(大阪市淀川区十三本町1-7-27 サンポードシティ6階 、TEL 06-6302-2073)

■サイト
第七藝術劇場
http://www.nanagei.com/
「戦争とファシズム映画祭」紹介ページ
http://www.nanagei.com/movie/data/680.html
『演劇1』『演劇2』想田和弘監督インタビュー
http://www.cinepre.biz/?p=3109