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「映画興行発祥の地」で当時の空気感を堪能 大阪・TOHOシネマズなんばで活弁上映

11月8日(火)にTOHOシネマズなんばで、「活動写真弁士と楽士による活動写真上映会」が開催。活動写真弁士・大森くみこさんによるサイレント映画の活弁上映が行われたほか、エッセイスト・武部好伸さんの「大阪と映画の関わり」についてのトークも。

大森武部鳥飼
大森くみこさん(左)、武部好き伸さん(中)、鳥飼りょうさん(右)

戎橋筋商店街による「秋の体験博2022」の一環として開催。
1897年2月15日に、現在はTOHOシネマズなんばがある場所(当時は南地演舞場)で、日本で初めての映画興行が行われたことにちなんで、当時の空気感を今の時代に味わってもらおうと企画された。

上映されたのは、“映画を発明した”リュミエール兄弟やエジソン社による黎明期の短編集、ジョルジュ・メリエスの『月世界旅行』、喜劇王バスター・キートンの『キートンの文化生活一週間』。
特にリュミエールとエジソンのコーナーでは、当時に実際に上映されたと記録されている短編の映像作品も上映された。

作品上映には、関西を拠点に活躍する活動写真弁士・大森くみこさんの活弁と、同じく関西を拠点に活動する楽士・鳥飼りょうさんのピアノ演奏が添えられた。

作品の上映前には、エッセイストの武部好伸さんと大森さんのトークも。
武部さんは2016年に『大阪「映画」事始め』を執筆。大阪の実業家・荒木和一さんがエジソン社から購入した映写機を使い、大阪・なんばで映画上映を行った歴史を記したほか、2021年にはその荒木和一を主人公にした小説『フェイドアウト 日本に映画を持ち込んだ男、荒木和一』を上梓(別名義での執筆)するなど、難波と映画のかかわりについて詳しい。

武部さん
エッセイストの武部好伸さん

武部さんが「大阪・難波は映画興行発祥の地でもあり、私が調べたところによると荒木和一さんが上映を行った場所でもあるんです。ぜひ難波はこのことをもっとアピールしてもらえたらうれしいです」とコメント。「大阪で映画を観る皆さんも、そういうことを知って観るとより映画が楽しくなると思いますので、ぜひ知っていただければと思ってます」と呼びかけた。

大森さん
活動写真弁士の大森くみこさん

一方大森さんは、今年活動10周年を迎えた節目に、映画興行発祥の地・難波で活弁上映ができたことに感無量の様子。「南地演舞場があったこの場所で、ずっと活弁上映をするのが夢でした。私にとって、聖地みたいなものです。念願がかなって、とてもうれしいです」と話した。

トーク後に、作品上映が開催され、前述の作品が大森さんの活弁と鳥飼さんの演奏付きで上映。当時の文化や背景事情の解説から、登場人物のセリフやナレーションまで大森さんの活弁が担い、集まった観客は125年前の映画体験を楽しんだ。

詳細情報
■サイト
活動写真弁士 大森くみこ 公式サイト
無声映画振興会