アニメーション史を研究しているかねひさ和哉さんによる冊子『TOONY~オールドアニメーションを語るマガジン~』「特集 フライシャー・スタジオの世界」の頒布が、9月24日(金)にスタートする。A5サイズ、66ページ。
かねひさ和哉さん
かねひさ和哉さんは、アニメーション史の研究者。大阪府在住で現在20歳。
もともと小学生のころから、ディズニーやルーニー・テューンズ、トムとジェリーなど、往年のアニメーションに触れてきたという。
「ミッキーはなぜ口笛を吹くのか―アニメーションの表現史」(著:細馬宏通、刊:新潮選書)などの研究本にも触れ、より興味が深くなっていった。
それが高じて、高校生の頃から独自にアニメーション史の研究を開始。映画黎明期に近い1900年代初頭の頃からのオールドアニメーションの歴史について調べ、SNSでの活動やウェブの執筆などもスタートさせた。
今回は、そうした執筆活動を形にまとめたものとして発行。
「TOONY~オールドアニメーションを語るマガジン~」と題し、まず第1号として、フライシャー・スタジオについての特集冊子を発刊する。非営利で、印刷費など経費以外の利益を受け取らず頒布する形となる。
フライシャー・スタジオは、ベティ・ブープやポパイなどで有名なアニメ会社。マックス・フライシャーとデイヴ・フライシャーの兄弟によるスタジオで、1910年代末期から1940年代前半までさまざまなアニメーション作品を世に送り出し、「ディズニーに最も対抗したスタジオ」とも呼ばれた。
今回の冊子では、1930年代に焦点を当て、最初のサイレント映画時代のフライシャー・スタジオから、サウンド時代に突入し「ベティ・ブープ」シリーズを製作、さらに「ポスト・コード時代」と呼ばれる表現規制時代や「ポパイ」の人気など、フライシャー・スタジオの栄光と変遷について項目を分けて紹介している。
「インターネットの発達で、当時の映像を見ることはたやすくなり、興味を持ちやすくなりました」と話すかねひささん。
だが、興味を持った人がインターネットで情報を得る場合、偏りがあるという。
「たとえばディズニーにいたアニメーターが、実はフライシャーや別のスタジオでも活躍していた人なのに、ディズニーでのことしか紹介されていない。ディズニーを辞めたあとに大きな功績を作っていても、なかなか知られることがない、という例が結構あります。それはもったいないなと思いました」と語る。
フライシャーについても、体系化されている資料が少ないのが現状だといい、「簡潔にまとめることで、作品ごとの解像度をあげる一助になれば」と話す。
今冊子では執筆だけでなくデザインも自分で担当し、「フライシャーを知らない人にも親しんでもらえる」ような構成と作りを心がけた。
冊子には、カートゥーン・シリーズ「Talkartoons」や、「Betty Boop」シリーズの各話解説コーナーも付属。
「フライシャーのアニメに興味が出た時、この冊子を片手に、知識をつけながら楽しんでいただきたい」と意気込む。
今後も「TOONY~オールドアニメーションを語るマガジン~」は、非営利で継続して発刊したい、と話すかねひささん。ほかの知られざるさまざまなアニメーションの歴史を、どんどん紹介していきたいと意欲を見せていた。
『TOONY~オールドアニメーションを語るマガジン~』「特集 フライシャー・スタジオの世界」は、9月24日(金)から、ウェブマーケットサービス「BOOTH」上で頒布開始予定。
少部数なので品切れの場合は、一旦頒布を終了する。
詳細情報 |
■頒布開始日 9月24日(金) *少部数印刷のため、品切れの場合は一旦頒布終了 ■サイト |