「映画で旅するイタリア2017」が、京都シネマで6月24日(土)よりスタート。一週間にわたって、日本未公開の最新イタリア映画『アラスカ』『ラテン・ラバー』『やつらって、誰?』の3本が上映される。
主催の京都ドーナツクラブは、現在FM802のDJも務める野村雅夫さんを中心に、2005年に結成。イタリア文化を総合的に紹介する活動をしており、特に映画においては、買い付け、字幕制作、上映、批評すべてに関わるグループとして独自の地位を築いている。これまでもアゴスティ監督作をはじめ、多数の日本未公開イタリア映画を字幕制作の段階から手がけて公開してきたが、今年3回目となる「映画で旅するイタリア2017」でも選りすぐりの3本を上映する。
先月、東京・大阪で第17回を迎え盛況に終わった「イタリア映画祭2017」にも登壇した代表の野村さんだが、今回主催する上映会は「裏イタリア映画祭」だと話し、「イタリア映画祭でもれたおもしろい作品を拾い上げて、補完する役割を果たしたい」と意気込む。
3作品のなか、一番早くに選ばれた作品『アラスカ』(2015年/クラウディオ・クペッリーニ監督)は、イタリアの人気TVシリーズも手掛け、カンヌでの評価も高いというクペッリーニ監督作。パリの高級ホテルの従業員ファウストとモデルの卵ナディンの出会いから始まり、離れてはまた巡りあう困難な恋の道のりを描く。少しの行き違いや一瞬の感情の爆発で、出会っては離れ、すれ違う二人がもどかしく、その不器用さが切ない。見守るこちらも不安を抱かずにはいられないが、何気ないワンカットの美しさ、静と動、青が印象的な空気感や歴史を感じるパリやミラノの街並みも含め、独特の世界観へ誘ってくれるラブストーリーだ。
ファウスト役にはヴェネツィア国際映画祭主演男優賞エリオ・ジェルマーノ、ヒロインのナディンには『パイレーツオブカリビアン/生命の泉』の人魚役で脚光を浴び『キング・アーサー』にも出演のアストリッド・ベルジュ=フリスベが起用されている。
初日に上映の『やつらって、誰?』(2015年/フランチェスコ・ミッチケ、ファビオ・ボニファッチ監督)』は、うってかわって『ルパン三世』を彷彿とさせるような裏切りだらけ騙し騙されの痛快コメディ。主演には『神様の思し召し』で、自由人な神父にふりまわされるエリート外科医を演じたマルコ・ジャッリーニ。今作では神父に外科医、バンドマンからTVプロデューサーにまで扮する、魅力的な詐欺師マルチェッロを演じる。相棒となるダヴィッドには『おとなの事情』出演のエドアルド・レオ。
マルチェッロに騙されたはずが、追いかけるうち、彼の大胆不敵なハッタリや根底にある美学に惹かれてゆくダヴィッド。共にスクリーンを追いかける私たちも、マルチェッロに気分よく騙されてしまいたくなる、不思議な爽快感のある作品だ。各シーンを彩る音楽も、作品のテンポや軽快なスピード感をより魅力的に演出している。
『ラテン・ラバー』(2015年/クリスティーナ・コメンチーニ監督)は『ブーベの恋人』『天使の詩』のルイジ・コメンチーニ監督を父にもつクリスティーナ・コメンチーニ監督作品。実際のイタリアの名俳優たちを投影した伝説的俳優サヴェリオ・クリスポの10回忌に集まった、彼を巡る女たちの回想と争い、新たに発覚する事実。サヴェリオ出演の作中作も興味深く、イタリア映画そのものへのオマージュともいえる作品となっている。
一般的にイタリア映画といえば、ジュゼッペ・トルナトーレ監督の『ニューシネマ・パラダイス』やフェデリコ・フェリーニ監督の『道』など、巨匠と呼ばれる監督の名作がまず頭に浮かぶが、バラエティにとんだ今回のセレクトでは、一辺倒ではないイタリア映画の多彩な魅力が伝わるのではないだろうか。
「映画で旅するイタリア2017」は、京都シネマにて、6月24日(土)から6月30日(金)まで開催。6月24日(土)、6月25日(日)、6月29日(木)は上映後、野村雅夫さんによる解説トークも予定されている。
映画で旅するイタリア2017 予告編 |
詳細情報 |
■開催日程 6月24日(土)~6月30日(金) ・6月24日(土) 19時40分~ 『やつらって、誰?』※アフタートーク付き ・6月25日(日) 19時40分~ 『ラテン・ラバー』※アフタートーク付き ・6月26日(月) 19時40分~ 『アラスカ』 ・6月27日(火) 19時40分~ 『やつらって、誰?』 ・6月28日(水) 19時40分~ 『ラテン・ラバー』 ・6月29日(木) 19時40分~ 『アラスカ』※アフタートーク付き ・6月30日(金) 19時40分~ 『やつらって、誰?』 ■料金 ■映画館 |