大阪のABCホールで5月13日(土)・14日(日)の2日間、イタリア映画祭2017が開催されている。2016年以降に制作されたイタリア映画新作7本を上映。
5月13日(土)・14日(日)に大阪のABCホールでイタリア映画祭2017が開催されている。13日にはFM802のDJで、自身もイタリア映画の翻訳や配給を手掛けている野村雅夫さんらのトークショーが行われた。
今年のイタリア映画祭の大阪会場では、5月13日(土)は『告解』『どうってことないさ』『かけがえのない数日』が、5月14日(日)は『切り離せないふたり』『歓びのトスカーナ』『いつだってやめられる―マスタークラス』『ジュリアの世界』が、2日間で計6作品が上映される。
『告解』上映後、野村雅夫さんと二宮大輔さんが登壇してトークショーを行った。野村さんと二宮さんは、イタリア文化を日本に紹介する活動を行う「京都ドーナッツクラブ」のメンバー。6月には京都ドーナッツクラブが主催する「映画で旅するイタリア2017」の開催が控えている。
5月13日(土)の上映作『かけがえのない数日』は仲良し女の子の数日のロードムービー。主人公のひとりがベオグラードで就職することとなり、その友達と同行するというもの。また5月14日(日)の『切り離せないふたり』は結合性双生児の姉妹が見世物として家族の生計を立てる中、医者から切り離されることを告知されて周りとの関係が揺らぐストーリー。野村さんは思春期特有の自意識を制御できない、何者になるのかという分裂しそうな自分というのを大胆な設定使って描いていることに衝撃を受けたという。
また『ジュリアの世界』ではエホバの証人の家庭で育った少女が宗教を理由に周りから異端扱いされてしまうという物語で、カトリック教徒が大半を占めるイタリアでは日本以上に排他的に見られる姿が全く見たことのない世界で驚いたという。
またこうした映画では、宗教に関してのリサーチがきっちりとなされているため、映画としてバランスがとれているものになっていると解説。野村さんは「これらの映画は思春期から人間が成熟していく過程を描いた作品、大人でも子供でもない『こどな』がテーマの作品が多かった。同じようなテーマをそれぞれの監督がどのように切り取るかも見比べて興味深かった」と話す。
また、『いつだってやめられる―マスタークラス』に出演し、『どうってことないさ』では監督と主演で活躍するエドアルド・レオから目が離せないという野村さん。彼は「ここ2、3年でイタリア映画を語る上では欠かせない重要な人物」だという。二宮さんが実際に会ってインタビューした際「僕の映画は近所の肉屋からは楽しいと言われる。知り合いの新聞記者からはインテリと評される。僕は肉屋にインテリと呼ばれたい」と話されたエピソードを明かすと、野村さんから「それってよく分からん映画を見たときに言うことじゃないの」とツッコミが入る場面もあり、会場の笑いを誘った。
野村雅夫さんに、イタリア映画祭の魅力についてもうかがった。
同祭は2001年に始まり今年で17回目を迎えている。初めは「日本におけるイタリア年」をきっかけに日本とイタリア政府のキャンペーンとして色々なイタリア文化を紹介しようという取り組みから始まったもの。「最初は『ニュー・シネマ・パラダイス』のジュゼッペ・トルナトーレ監督のような、いわゆる巨匠と呼ばれる人の新作が見られるということで足を運んだ」と野村さんは当時を振り返る。しかし、ここ数年イタリア映画の毛色が変わってきたという。「特に今年上映する『いつだってやめられる―マスタークラス』はシドニー・シビリア監督が若い人で、イタリア映画の伝統を踏まえつつアメリカ、日本文化の良さを見事に吸収している」と絶賛する。
イタリア映画祭では普遍性や芸術性を備えたものが多く上映されているが、そんな中この作品は娯楽映画のシリーズ2作目。現在3作目を製作中とのことだ。野村さんは「内容も非常にポップなものでハリウッドのマーベル映画を意識したような作りも特徴。それでいてイタリアでしか撮れないものを撮っているのが新鮮」と話した。
また、去年イタリア映画祭で上映された『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』も、イタリアでのアカデミー賞にあたるダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞を7部門受賞するなど、ヒーロー映画としては異例の快挙に。「こういった若手の監督が活躍するイタリア映画界を10年後、20年後を振り返ったときに1つの転換点になるのではないか」と推測しているという。
イタリア映画祭2017は、5月14日(日)も大阪のABCホールで開催。料金は前売=一般1,300円、学生・60歳以上1,200円、当日=一般1,600円、学生・60歳以上1,500円。
詳細情報 |
■実施日程 5月13日(土) 12時30分~ 『告解』※上映後に野村雅夫さんトーク 15時30分~ 『どうってことないさ』 18時~ 『かけがえのない数日』 5月14日(日) ■料金 ・当日 ■開催会場 ■サイト |