西川美和監督作『永い言い訳』の舞台挨拶付き上映が、10月5日(水)にTOHOシネマズ梅田で開催。現在日本シリーズを戦う広島カープとの関連性も明かされた。
『永い言い訳』(2016年、124分)は、『ゆれる』『ディア・ドクター』『夢売るふたり』の西川美和監督が、『おくりびと』以来7年ぶりの映画主演となる本木雅弘さんを迎え、直木賞候補となった自らの小説を映画化した最新作。
人気作家の津村啓こと衣笠幸夫が、突然のバス事故により、長年連れ添った妻を失う。妻の間にはすでに愛情はなかったが、同じ事故で亡くなった妻の親友の遺族と出会い、幼い2人の子どもの面倒を見ることを申し出る……というストーリー。
今回は同作の公開を記念して、10月5日(水)にTOHOシネマズ梅田で舞台挨拶付き上映会を開催。本木雅弘さん、西川美和監督が登壇した。
まず、関西人のイメージや大阪の魅力について聞かれると、本木さんは「大阪のみなさんは、基本的に率直な方が多い気が。笑顔でいても、はっきり鋭い意見をしてくださる印象ですね」と笑う。西川監督は、大阪での舞台挨拶をいつも楽しみにしているといい、「とくに観客のみなさんとのQ&Aですね。おそらく大阪の方は、日本で一番リアクションが早い!(笑)」とコメント。「舞台上の私たちを気まずくさせないような気配りと言いますか、関西のみなさんのサービス精神にはとても助けられています。しかも、手を挙げて1度ボケてから質問されるというパターンなので楽しみな時間ですね(笑)」と笑いを誘った。
現在プロ野球の日本シリーズを戦っている広島東洋カープについての話も。
広島出身の西川監督は、大のカープ・ファンということもあり、今回の主人公の名前は、実は広島東洋カープの衣笠祥雄さんからつけたというエピソードを披露した。「大きすぎる名前を背負った男という意味なんです。自分が生まれ持ったものを、ちゃんと正面から受け止めて背負っていくことのできない、いつまでも幼稚な中年という主人公の性格を想定していたので、それを端的に表現してくれるにはなにか大きすぎる名前を背負った人がいいなぁと思い、それで“鉄人”衣笠さんのお名前を思いつきました」と振り返る。
撮影には、一年かかったという話も。西川監督は、「長い期間かけることで共演者同士の関係性が色濃くなっていきました。子どもたちは、お兄ちゃんと妹のような関係性だったし、楽屋にも子役たちから“おとうちゃん”と呼ばれて感激する竹原ピストルがいました(笑)。本木さんは実生活では3人のお子さんを持つお父さんでいらっしゃるだけあって、撮影の合間にはずいぶん、子供たちと遊んでくれていて、そういう時間も現場の空気を良くしたのだと思います」と振り返る。「演じるということがわからずにいた子供たちが季節とともに、大人の俳優と同じように成長していく。もちろんうまくいかないことも多かったのですが、彼らと過ごす時間が“私たち大人も、大人にしてくれた”殿田と思います」とコメントした。
本木さんは「現実として、子供の半年、一年ってすごく変化しますよね。それが画面からきっと、伝わってくると思います。すでにお兄ちゃんは、この間会ったら、声変わりしていたんですよ。あの時間にしかなかった輝きが記録されていると思うと、なにか込み上げるものがありましたね」と思いをはせた。
最後に本木さんは、「いわゆるエンタメ作品に比べれば、劇的な展開がないとお感じになるかもしれませんが、時間の積み重ねからしか汲み取れない真実のようなものを見つけてもらえるとありがたいです」と呼びかけ、舞台挨拶は終了した。
映画『永い言い訳』は、TOHOシネマズ梅田ほか全国で公開中。
映画『永い言い訳』予告編 |
詳細情報 |
■上映日程 10月14日(土)~ ■サイト |