大阪出身で映写技師でもあった写真家・中馬聰さんの写真集『映画館』が4月に刊行。フィルムからデジタルの過渡期に合わせて、全国140館以上の映画館の姿を、モノクロで紹介している。
中馬聰さんは、大阪出身の写真家。映画館で映写技師として働いていたこともある。2007年から数年にわたって、日本全国の映画館140館以上を訪問し、フィルム映写機や映画館の外観、劇場内、映写室の様子などを撮影した。
今回発刊された写真集『映画館』は、その集大成。約380点のモノクロ写真が、在りし日の映画館の姿を今に伝える。撮影後に閉館・休館した映画館も51館あるという。
そのほか、映画評論家として著名な山根貞男さんや、前東宝社長の高井秀幸さん、ミュージシャンの小西康陽さんの寄稿なども掲載している。
同書では、中馬さんがなじみ深かった関西の単館系映画館も多数紹介。
「難波を歩くと、子供の時によく家族と映画館へ出かけたときの事を思い出します」という中馬さん。指定席がない時代に、父親がひと足先に家を出て、いつも観やすい席を人数分確保してくれていたという。入れ替えも無い時代だったため、「余程つまらない映画でない限り2回続けて観て楽しみました。そのあとは家族で映画の話をしながら食事をしたり、ぶらぶら心斎橋を歩いたり。今でも映画館へ行く時にふと、その頃のことを思い出します」と話す中馬さん。
「多くの公開中の作品から一つを選び、上映時間を調べ、間に合うように映画館へ行き、チケットを買い、座席に座る。やや気分が高揚しつつ、これから観る映画のことをぼんやり考える。大きなスクリーンで映画を観るのも勿論好きですが、映画を観るまでの、映画館という場所に向かうまでの時間も同じく大切に思っています」と映画館への思いを語ってくれた。
中馬聰写真集『映画館』は、4月27日、リトルモアより発売。価格は3,600円+税。
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