“おばちゃん7人が山で迷子になるだけ”の映画『滝を見にいく』が、1月17日(土)以降関西でも公開される。監督は『南極料理人』『横道世之介』などの沖田修一さん。
監督は、『南極料理人』(2009年)『キツツキと雨』(2011年)『横道世之介』(2013年)などを手がけた沖田修一さん。おばちゃんたち7人が、幻の滝を見に行くツアーに参加。しかしガイドの男性がいなくなってしまい、山の中で迷子になる。取り残されたおばちゃんたちが、食料も寝どこもない状態で繰り広げるサバイバルを、ユーモアたっぷりに描いている。
個性豊かなおばちゃんを演じるのは、オーディションで選ばれた女性たち。
演技のワークショップの延長での映画制作としてスタートした本作の企画。内容は監督の好きなものでいい、と言われたため、「おばちゃんが愚痴を言い合いながら山道をハイキングして最後に滝を見る、という、普通考えたらどこも映画にしてくれないような話をあたためていて、『あ、ワークショップならできるんじゃないかな』と思った」のがスタートラインだった。その結果選ばれたのが、登場する7人の女性。中には演技経験が全くない人もいる。ワークショップでは7人の男性が出てくる『南極料理人』の脚本を持ってきて、それぞれを演じてもらったこともあるという。
最初のオーディションでは40人弱の人に会って話を聞いた沖田監督だが、そういった背景を脚本に組み入れようと思ったため、「40人の半生をたっぷり聞く羽目になりました」と笑う。ある意味おばちゃんたちのの人生に「あてられた」感じになったという。
その結果として、演じる人の個性が反映されたキャラクターを造型することに。役名も、演者の名前を拝借して命名した。「衣装は、自前のものがやっぱりなじむだろう」という考えから、制作側で用意したものと自前を半分半分に。各自の持ち物も「この人はゆでたまご持ってきそう」とか「タッパーに梅干しを入れてそう」とかそういう想像をふくらませて設定した。
撮影の合宿では、役者とスタッフが垣根のない生活を送った。現場で思いついたアイディアも多く、みんなで相談しながらその場で脚本を書き変えたこともあるという。「脚本を書いていると1回か2回ぐらいもう駄目だと、まったく面白くないんじゃないかと思うことがあるんですが、それを根性で乗り切るもんだと思ってます」と笑う沖田監督。
ある印象的なシーンについては、「小学6年生の気分でやってください」とお願いしたという。でもそれ以外のシーンについても、必ずおばちゃんたちは実年齢より若く見えたといい、そんな「おばちゃんの女の子っぽさ」も魅力の一つだ。その代りに、ドラマティックな展開は排除される作りをしていて、「本来のドラマのセオリーでは、7人が出会って、それぞれが抱えている物語が明かされて、関係が変化して解決する、というのが多いと思うんですけど、なんか嘘っぽいな、と(笑)。それとは違うものを表現したかった」と話す監督。「7人にしたのは、ちょうどみんなのキャラクターが印象に残る数かなあと思って決めました」と振り返り、「編集していると、『あ、このシーンでこの人はこんなことしてたんだ』と発見したこともありました。7人が同時にいろんなことをしている映画なので、それも楽しい部分かなと思います」とアピールした。
『滝を見にいく』(2014年、88分)は、大阪・アメリカ村のシネマート心斎橋で1月17日(土)から、京都・烏丸の京都シネマで1月24日(土)から、神戸の元町映画館で2月21日(土)から、それぞれ上映される。
『滝を見にいく』予告編 |
詳細情報 |
■上映日程 ・シネマート心斎橋 1月17日(土)~ ・京都シネマ ・元町映画館 ■映画館 京都シネマ 元町映画館 ■サイト |