ドキュメンタリー映画『谷川さん、詩をひとつ作ってください。』の特別上映が1月12日(月・祝)に大阪のシアターセブンで開催。詩人の谷川俊太郎さんと杉本信昭監督が登壇し、トークショーを行った。
『谷川さん、詩をひとつ作ってください。』(2014年、82分)は、谷川さんが東日本大震災をきっかけに制作した詩「言葉」を入口に、様々な場所で懸命に生きる人の姿を新たな詩に焼き付けようとする姿を描いたドキュメンタリー。監督は、多くのドキュメンタリー映画を手がけてきた杉本信昭さん。
「詩を作ることを映画にするのは難しいんじゃないかと、最初は思ってました」と話す谷川さん。詩作について「理詰めで出来るものはやっぱり面白くないわけです。漠然とは考えていますが、あとは危機感におまかせというか、いいものが出てこないかなあ、とそんな感じでやっています」と話す。
「そんなスタイルに不安を持ったことはないですか?出てこなかったらどうしよう、とか」と杉本監督が問うと、「出てこなかったらやめるだけだから、あんまり気にしないでやってます。深刻に考えずにやってます」と答え、会場を沸かせた。「もしかしたら認知症になって詩が書けなくなるかもしれない、という心配はありますが、逆にすごい詩が書けるかもしれない、という楽観的な見方もあるわけです」との答えも。
杉本監督は谷川さんを、「詩を定型的にとらえているわけではない人」だと思ったという。谷川さんは「もともとすごい詩人になりたい、という気持ちでやったわけでもないので、『これが詩である』『これは詩でない』という決めつけはせずにやってきました。詩とは何か、というような本はやっぱりたくさん読んでたし、自分で書いた中でも詩ではないなと思うってしまうものもありましたけど、日本語として魅力があればそれでいいんじゃないかと思ってます」と考えの一端を披露した。
「エッセイとか随筆を書くときと、詩を書くときは、こっちの気持ちがずいぶん違いますね。散文は理詰めで書きますけど、詩はそうはいきませんから」と話す谷川さん。「詩は理性を働かせないんです。もちろんある程度書いた後は理性を働かせて推敲しますけど、書くときは理性を働かせちゃダメなんです」と語った。
その後は映画やドキュメンタリーについてのトークも展開。観客からの質問にも多数答え、サイン会も実施された。
『谷川さん、詩をひとつ作ってください。』は、現在大阪・十三の第七藝術劇場で上映中。1月23日(金)まで。神戸アートビレッジセンターで1月31日(土)から上映予定。
関連ブックフェアが、紀伊国屋の梅田本店で1月23日(金)まで、グランフロント店で2月上旬まで、それぞれ開催されている。
『谷川さん、詩をひとつ作ってください。』予告編 |
詳細情報 |
■上映日程 ・第七藝術劇場 ~1月23日(金) ・神戸アートビレッジセンター ■映画館 神戸アートビレッジセンター ■サイト |