女優でプロデューサーの杉野希妃さん主演・プロデュース作『禁忌』と、監督をつとめた『欲動』(三津谷葉子・斉藤工W主演)が、大阪・九条のシネ・ヌーヴォで12月20日(土)から同時公開される。
杉野希妃さんは、深田晃司監督の『歓待』(2010年)などに出演し、高い評価を得た女優。東京国際映画祭では特集上映が組まれるなど国際的な評価も得ている。『おだやかな日常』『ほとりの朔子』など多くの作品に精力的に出演する他、近年はプロデュース業や監督業にも注力し、映画の企画から制作、宣伝なとマルチな才能を発揮している。
今回は主演作と監督作をそれぞれ関西で同時上映する。
主演作『禁忌』(2014年、73分)は、女子高の教師サラと、監禁された少年・望人の秘められた関係が主軸となる物語。「少年愛」をテーマに、大人の女性と少年の性的なつながり、アブノーマルな嗜好、相互依存を描いている。
満たされない日々を送っている教師サラを杉野さんが熱演するほか、幼い少年から徐々に成長していく望人を太賀さんが、もともと望人を監禁していたサラの父親を佐野史郎さんが、それぞれ演じている。監督は、本作が長編デビューとなる和島香太郎さん。和島さんの繊細な才能に惚れ、杉野さんからプロデュースを申し入れたという。
杉野さんは「初めて監督から渡されたプロットを読んだ時、『好き』というものが反比例していくのが面白いなと思いました」と振り返る。
もう一作『欲動』(2014年、101分)は、三津谷葉子さんと斉藤工さんW主演の作品。杉野さんは監督をつとめており、釜山国際映画祭新人監督賞を受賞した。全編バリ島で撮影。妹夫婦の出産に立ち会うためバリを訪れた夫婦の亀裂と、湧き上がる性的な衝動を、丁寧に描く。斉藤工さんは心臓に重い病を抱える夫という新境地の演技を披露。三津谷さんは、異国で衝動が解放されていく妻を体当たりで演じている。
昔考えていたけど寝かせていた、一人の女性がバリに行って解放されるという話に、ドラマ部分を付けくわえて再挑戦したという本作。表現で悩んでいた時期に、殻を破りたかった自分に重ね合わせたといい、それを三津谷さんと知り合うことで、彼女にその役を託したいと考えたと話す。
エロティシズムや性欲、生命を描いているこの2作を振り返り、「自分とは何なのか、ということについて興味が向いていってる気がします」と話す杉野さん。「これまでは社会性が高い作品が多かったけど、今回はドラマ性が前面に出ていますね、と言われたこともあって、ひょっとするとそういう時期なのかもしれません。女とは何なのか、人間とは何なのか、自分とは何なのかということに立ち返る作品になっているのは、偶然ではない。私がそういう時期に差しかかっているのだと思います」と振り返る。
両作に入っている濡れ場についても、「単なるサービスショットにすぎないようなよくある描き方ではなくて、性行為によって物語が転換していくキッカケを描きたかったんです。もともと自分の何かと対面して、自分自身の何かをつかむためするものだと考えているので、それはちゃんと描こうと思いました」と話す。
『禁忌』は12月20日(土)から2015年1月16日(金)まで、『欲動』は12月20日(土)から2015年1月23日(金)まで、大阪・九条のシネ・ヌーヴォで上映予定。両作とも2015年1月17日(土)から京都みなみ会館と神戸の元町映画館で、それぞれ上映される。
映画『禁忌』予告編 |
映画『欲動』予告編 |
詳細情報 |
■上映日程 『禁忌』 12月20日(土)~2015年1月16日(金) 『欲動』 ※京都みなみ会館、元町映画館は2015年1月17日(土)から上映開始。 ■映画館 京都みなみ会館 元町映画館 ■サイト |