カンヌにも出品された河瀨直美監督最新作『2つ目の窓』の上映がスタート。7月27日(日)に河瀨監督や主演の村上虹郎さん、吉永淳さんらがテアトル梅田で舞台あいさつを行った。
河瀨直美さんは、奈良を拠点に活動する映画作家。『萌の朱雀』(1997年)でカンヌ国際映画祭のカメラ・ドールに、『殯の森』(2007年)で同グランプリに輝いたほか、2009年には「金の馬車賞」を受賞。2013年には同祭のコンペティション部門の審査員をつとめていた。
最新作『2つ目の窓』は、壮大な自然をもつ奄美大島が舞台の作品。16歳の少年少女の恋と成長を通じて、人間の愛や無常を描いたヒューマンドラマに仕上がっている。今年のカンヌ国際映画祭コンペティション部門にも正式出品されていた。
今回は上映2日目となる7月27日(日)に、河瀨監督と出演者の村上虹郎さん、吉永淳さん、そして音楽を手がけたハシケンさんが登壇。「関西に帰ってきました、ただいま」とあいさつし、大きな拍手が送られた。
河瀨監督は、「2年前に、私を育ててくれたおばあちゃんがこの世を去りました。つながりを失って、足りないという気持ちが自分の中にある日々でした。でも自分には映画がある、と。映画でそれを紡ぎなおすという思いで作ってきました」と振り返った。
「みなさんの中に、この映画の中の人の人生が刻まれるとうれしい」と話す河瀨監督。同作について、「見終わった後一言で言える映画ではないと思います。でも自分の中に違和感とか、何か否定したいという存在があって、答えが見つからない問題もある。その違和感を自分の中に認めたり許したりすることはできると思ってます。その気持ちが“2つ目の窓”を開かせることができるのでは」と話した。
村上さんと吉永さんからは、河瀨監督流の演技指導についてのエピソードも。村上さんはある印象的なシーンで、「あなたのお父さん、お母さんもいつかは亡くなる。その時の気持ちを決めて覚悟してほしい。そして、親が亡くなってこのシーンを見たとき、後悔しない演技をしよう」と言われたという。また吉永さんは、現場に入る直前に台本を取り上げられた逸話を話し、「自分の中に少しでも迷いがあると気づかれる監督でした。いままではカメラに映る自分を気にしたりしながら演技していたのですが、河瀨監督の現場では、弱いところもあるありのままの自分でカメラのままに立つという経験をさせていただきました」と話した。
ハシケンさんは、「もともと、映像から音が聞こえてくるような作品を作られている監督」と絶賛。「曲を提出しても、もっといいものを、俳優の魅力に負けない音楽を、と要望していただき、それに応えるよう努力しました」と振り返った。
途中、劇中でも歌っている奄美大島の民謡「あさばな節」を吉永さんが生歌で披露。満席の観客が手拍子を送る一幕もあった。
映画『2つ目の窓』は、テアトル梅田、シネ・リーブル神戸、京都シネマなどで上映中。
予告編 |
詳細情報 |
■上映日程 7月26日(土)~ ■映画館 シネ・リーブル神戸 京都シネマ ■サイト |