札幌の51歳のミュージシャンの生き様を描いたドキュメンタリー『KAZUYA 世界一売れないミュージシャン』が、大阪のシアターセブンと京都の立誠シネマプロジェクトで上映される。
『KAZUYA 世界一売れないミュージシャン』(2012年、96分)は、北海道・札幌で活動する51歳のミュージシャンKAZUYAの生き様を描いたドキュメンタリー映画。もともとは、1990年代に札幌で人気を博したロックバンド「PHOOL」のメンバーだったが、解散後はソロで活動。売れないまま50代を迎えてしまったKAZUYAが、10年ぶりに新作アルバムの制作に挑む姿に密着した。
監督は、田村紘三さん。PHOOL時代からのファンだったといい、それから交流を続けてきた。もともと美容師でありドッグブリーダーでもあった田村さん。映画監督は初挑戦だが、「40歳になったとき、やりたいことをやろうとして映画の道を選んだ。そのとき、ドキュメンタリーの被写体にするには彼しかいない」と決意し、KAZUYAの日常に1年半密着。慣れないことながらも、彼のライブを訪れ、飲みにつきあいつつカメラを回しつづけた。
映されているのは、厳しい集客に困り、作ったCDの売れ行きも苦戦する51歳のミュージシャンの姿。それでれもある時はあっけらかんと、ある時はひょうひょうとしながら、自分の音楽の道を歩み続ける姿を、等身大で描いている。
「最初ライブを撮りに行ったとき、オーラもないしどうしようかなと思いました(笑)」と笑いながら振り返る田村さん。「まず笑えるものを作りたかった。でも笑えるだけでなく、心に引っかかるものにもしたかった」と話す。
完成後、札幌の映画館で公開し、大きな反響に。インディーズ第一作としては異例の劇場公開を果たし、東京・大阪・京都・名古屋への進出も実現した。「自分も頑張ろうと思った」「勇気が出てきた」という声も多く、「他人事とは思えない」と、さまざまなクリエーター・ミュージシャンにも受け入れられたという。
「人間がいちばん怖いことは、成功することかもしれません。KAZUYAさんは、このままでも幸せだと思う。震災の後、お金を持っているから幸せ、という価値観も壊れはじめてきている。だからこのKAZUYAさんの、金もないのにすごく幸せそうな生きざまを観て、成功や幸せについて何かしら考え、感じてもらえたら」と呼びかける。
『KAZUYA 世界一売れないミュージシャン』は、大阪・十三のシアターセブンと、京都・河原町の立誠シネマプロジェクトで7月12日(土)から7月25日(金)まで上映。両館とも7月12日(土)・13日(日)は田村監督の舞台挨拶などが予定されている。
『KAZUYA 世界一売れないミュージシャン』 予告編 |
詳細情報 |
■上映日程 シアターセブン 7月12日(土)~7月25日(金) ※7月12日(土)は田村監督の舞台挨拶 7月13日(日)は体験ノンフィクション芸人・コラアゲンはいごうまんさんと田村監督のトークショー 立誠シネマプロジェクト ■映画館 立誠シネマプロジェクト |