アメリカの刑務所で生まれた、元受刑者とHIV陽性者の女性たちによる劇団を描いたドキュメンタリー『トークバック 沈黙を破る女たち』が、第七藝術劇場、京都シネマ、神戸アートビレッジセンターで上映される。
アメリカ・サンフランシスコの刑務所で誕生した、元受刑者とHIV陽性者の女性たちのアマチュア劇団「メデア・プロジェクト:囚われた女たちの劇場」。それぞれの過酷な人生を芝居にして上演するというスタイルで、女性受刑者たちが自分の人生を取り戻すためのワークショップとして、演出家ローデッサ・ジョーンズが創設した。2008年からは、元受刑者だけでなく、HIV/AIDS陽性の女性たちとのコラボをスタート。自身の過去や現状と向き合い、隠さず声をあげることで、今後の人生や周囲、観客たちに与える影響を描いている。
監督は、犯罪者の更生プログラムに参加する受刑者たちの姿をカメラにおさめた『Lifers ライファーズ 終身刑を超えて』(2004年)を手がけた坂上香さん。2006年に、もともとツテがないところから取材をはじめたという。日本とサンフランシスコを何度も往復しながら地道な取材を繰り返して信頼関係を築いていき、2013年まで撮影した200時間以上の素材から、本作を製作した。
出演する女性たちのインタビューも繰り返したが、なかなか自分の住んでいる場所で語れない、ということも多かったという。「でも、カメラを持って劇団を訪れるたびに、女性たちの心に変化が生まれていて、すごいと思いました」と振りかえる坂上監督。「もともと、自身の体験や現状を言えないことがストレスになっていた人たち。そんな人が自分を語るというのは最初は抵抗があることだけど、表に出したり共有したりすることが、彼女たちにとってものすごく力をあたえられていると感じました」と話す。
また、同作の特徴として、上映後にしばしば「トークバックセッション」と呼ばれるトークイベントやワークショップを実施している。これは坂上監督や同作に関連のある活動をしている支援者たちが登壇し、希望する参加者からの意見や体験談も話してもらう企画。それぞれが自身の体験を語りあう場を提供し、仲間や支援者との新たなつながりを生むことを目指すというもので、多くの人たちから積極的な参加があり、好評を博しているという。
坂上監督は「こういう体験を持つ人たちは、声をあげることが難しかったからこそ、つながることもできなかった。それがこの映画を媒介とすることで、新たなつながりが生まれていくのがうれしい」と話している。
『トークバック 沈黙を破る女たち』は5月24日(土)から6月13日(金)まで大阪の第七藝術劇場で、5月24日(土)から6月6日(金)まで京都シネマで、7月26日(土)から8月8日(金)まで神戸アートビレッジセンターで、それぞれ上映予定。
第七藝術劇場と京都シネマでは5月24日(土)・25日(日)で、上映後にトークバックセッションも予定されている。(神戸アートビレッジセンターは後日詳細発表)
予告編 |
詳細情報 |
上映日程 |
第七藝術劇場 5月24日(土)~6月13日(金) 京都シネマ 神戸アートビレッジセンター |
映画館 |
第七藝術劇場 (大阪市淀川区十三本町1-7-27サンポードシティ6F、TEL 06-6302-2073) 京都シネマ 神戸アートビレッジセンター |
サイト |
『トークバック 沈黙を破る女たち』公式サイト http://talkbackoutloud.com/ 第七藝術劇場 http://www.nanagei.com/ 京都シネマ http://www.kyotocinema.jp/ 神戸アートビレッジセンター http://kavc.or.jp/ |