スコットランドとウィスキーの豊かな歴史　武部好伸さんが講演

神戸映画サークルの市民映画劇場例会で、ウィスキーをテーマにした映画『天使の分け前』が上映。4月19日（土）には、エッセイストの武部好伸さんが「スコットランドとウィスキー」と題した講演を行った。

スコットランド、ウィスキー、映画などに造詣が深い武部好伸さん

『天使の分け前』（2012年、101分）は、ウィスキーによって人生が変わり、前向きに生きていこうとするスコットランドの青年を描いた映画。題名は、樽の中で蒸発するウィスキーが「天使の分け前」と呼ばれるところから名づけられた。カンヌ国際映画祭で審査員賞に輝いた同作を、神戸映画サークル協議会が4月例会で上映。それに合わせて武部好伸さんを招き、「スコットランドとウィスキー」と題した講演を実施した。

壇上でスライドを用いて講演

武部好伸さんは、元読売新聞記者のエッセイスト・作家。ウィスキー、映画、そしてスコットランドやケルト文化に造詣が深く、ケルト紀行シリーズなど多くの著書を執筆。今年1月には、映画に出てくるウィスキーに焦点をあてた「ウィスキーアンドシネマ」（淡交社）を刊行している。

『天使の分け前』 (C)Sixteen Films, Why Not Productions, Wild Bunch,Les Films du Fleuve, Urania Pictures, France 2 Cinema, British Film Institute MMXII

映画上映後に登壇した武部さんは、スライドを用いて、まずスコットランドの地理や歴史について解説。自身の旅行体験を織り交ぜながら、ケルト人の風習やヨーロッパの民族移動の歴史についてわかりやすく講演した。
『天使の分け前』にも触れ、作中で主人公たちが着るキルトと呼ばれる衣装や、移動した道程、立ち寄った蒸留所などを写真と地図で紹介した。

地図を用いた解説も

そして話は、ウィスキーの歴史へ。ウィスキーが琥珀色になった理由や、アイラ島などのシングルモルトウィスキーの特徴についても話題が広がり、参加者たちは映画の物語と重ね合わせながら講演を楽しんだ。

最後には、「自身の人生を変えた」というウィスキーとの出会いについても言及した武部さん。当時を「酒飲みから酒好きに変わった瞬間」と言い、それ以降スコットランドやケルトについて調べるようになったと振り返る。「たかがウィスキー、されどウィスキー。スコッチ飲んで、ええあんばいに行きましょう。みなさんもそんな人生を歩んでください」としめくくった。

武部さんの講演に聞き入る参加者たち

武部さんの新著「ウィスキーアンドシネマ」は好評発売中。
4月27日（日）には、大阪・京町堀のアイリッシュバーGATBYで、同書の出版記念トークイベントが催される。

■サイト
武部好伸公式Blog
http://www.takebeyoshinobu.com/
『天使の分け前』公式サイト
http://tenshi-wakemae.jp/
神戸映画サークル
http://kobe-eisa.com/