ご当地映画、というジャンルがあります。
地域の人たちの協力のもと、あるものは観光PRのため、あるものは街おこしのため、地域を舞台にした映画を作るというものです。
今回紹介するのは、そんなご当地映画・・・ではありません。
関西という土地に根差して作られながら、ご当地映画の枠にとらわれず、あくまで目線は娯楽作品となることを目指している。
そうした作品が、2013年はたくさん作られていったのです。
短編作品から紹介します。
世界中で行われている短編映画制作コンペティション「Th 48 Hour Film Project」。与えられたお題に従って48時間で作品を作らないといけない、というものなのですが、全国で唯一大阪の地で、3年前より開催されています。
2013年も、多くの映像クリエーターが集結。それぞれが経験や技術、情熱を総動員して、個性的な作品を作りあげました。
■48時間の成果お披露目 コンペ参加作品25本一挙上映 http://www.cinepre.biz/archives/8037 |
次に、神戸・京都で作られた作品を紹介。
2013年神戸100年映画祭の「未来の神戸映画プロジェクト」は、神戸市民の支援で学生たちが短編映画を作る、という取り組み。3人の若者たちの青春映画『ストラグル・ブルー』を完成させました。
■「未来の神戸映画」今年も完成 若手監督の青春映画が上映へ http://www.cinepre.biz/archives/7988 |
京都でも、インディーズ短編の秀作が誕生。
百鬼夜行の怪談をモチーフに製作された佐藤絢美さん制作の『やわ』が、松本商店街映画祭でグランプリを受賞しました。
■京都の妖しい怪談描く 映画祭優勝の『やわ』関西凱旋 http://www.cinepre.biz/archives/5364 |
次に長編です。
まずは、兵庫。
長編の中でも、手探りで始まり、多くの市民を巻き込んだ例として、兵庫県伊丹市で制作された『ストロボライト』があげられるでしょう。
全国に通用するサスペンスを、とあえて「伊丹らしさ」を排除した映画づくりを選択。さらに配給・宣伝も自分たちで取り組み、ファンを獲得していきました。
■伊丹で作り上げた本格サスペンス 『ストロボライト』いよいよ公開 http://www.cinepre.biz/archives/7123 |
次に京都。
『濱マイク』シリーズなどで知られる林海象監督が手がけた『彌勒 MIROKU』が、全国で上映スタート。制作スタッフには、林監督が教鞭をとる京都造形芸術大学の学生らが多数参加されました。主演に永瀬正敏さんを迎えたほか、「上映に生演奏を合わせる」フィルムオーケストラバージョンでの公開も話題となりました。
■文学・映画・音楽が融合 林海象監督作『彌勒 MIROKU』が神戸へ http://www.cinepre.biz/archives/6892 |
最後に大阪です。
道頓堀を舞台に、ミュージカルに打ち込む看護師やその周辺のひとたちの情熱を描いた『あした天使になあれ』が公開されました。
■舞台に賭ける情熱描く 『あした天使になあれ』封切へ http://www.cinepre.biz/archives/4880 |
同じく道頓堀や、アメリカ村、心斎橋など「ミナミ」を舞台に作られたのは、『FLY ME TO MINAMI – 恋するミナミ』。以前に大阪・新世界を舞台にした『新世界の夜明け』を制作したリム・カーワイさんが監督。香港・韓国の女性がミナミを訪れることで始まる2通りの恋愛模様を描いています。
■『恋するミナミ』に乾杯! シネ・ヌーヴォでトーク&忘年会 http://www.cinepre.biz/archives/9099 |
他にも、キネプレでは紹介しきれていませんが、大阪の娘を田舎の父親が訪問することから始まる人情映画『ソウル・フラワー・トレイン』(原作:ロビン西、監督:西尾孔志、主演:平田満)や、大阪の老舗クラブNOONで起こった風営法取締りに端を発し、多くのミュージシャンへのインタビューを交えながらダンス規制について問いかける『SAVE THE CLUB NOON』(監督:宮本杜朗)など、大阪に根差した映画が多数制作されました。
■『FLY ME TO MINAMI – 恋するミナミ』 (シネ・ヌーヴォで1/24まで公開) http://flyme2minami.com/ ■『ソウル・フラワー・トレイン』 ■『SAVE THE CLUB NOON』 |
いままでの観光促進映画とはひと味もふた味も違う、新しいスタイルの「地方映画」。
とくに、関東に次ぐ都市圏である関西では、その他の地方とは違うアプローチも可能になります。
大阪をはじめ、今後の関西で作られていく映画に、注目していきたいと思います。
東京ではなく、関西の地で映画を作るというのはどういうことなのか。それをどういう形で、どういう観客に届けたいのか。 監督たち制作者のみなさんが、それぞれ頭を悩ませながら取り組んでいます。 ご当地映画も、新しいステージに突入する時代になっているのかもしれません。 |