林海象監督作品『彌勒 MIROKU』の奉納上映が京都の下鴨神社で行われ、林監督や主演・永瀬正敏さんらが登場。完成したばかりの映画を神様に披露した。
下鴨神社の楼門に掲げられた「奉納上映」の文字 |
『彌勒 MIROKU』は、小説家・稲垣足穂の同名小説を原作に、『夢見るように眠りたい』『私立探偵 濱マイク』などで知られる林海象監督が映画化に取り組んだ作品。もともと林監督が稲垣足穂文学の大ファンであることから、遺族に映画を作りたい旨を相談。快諾を得るもなかなか実現できず、10年以上あたためていた企画だったが、今回ようやく念願の映画化にまでこぎつけた。
また林監督が映画制作を教える京都造形芸術大学の映画学科で、「北白川派」という学生とプロが共同で映画制作を行うプロジェクトが始動。今回の『彌勒 MIROKU』は同プロジェクトの第4弾となり、京都での撮影から宣伝・配給まで、多くを学生たちが手がけている。
奉納上映をひかえた会見には、林監督をはじめとして、小説家を夢見る少年・江美留役の土村芳さんと、青年になった江美留を演じた永瀬正敏さん、さらに江美留の少年時代の友人を演じた京都造形芸術大学の学生ら、配給・宣伝をつとめた「ミロク革命社」の片岡大樹さんが出席。それぞれが同作への思いを語った。
会見に登場した林海象監督、永瀬正敏さん(写真中央)ら |
今回の奉納上映は、林監督が「映画という芸術が生まれたのはまだ最近のこと。神様はひょっとしたら、映画を観たことがないんじゃないか」と思い、下鴨神社の関係者と相談したことから実現したという。
23歳の頃に原作を読んで「これを映画化する」と誓ったという林監督。大学で教鞭をとっている中で、学生たちの純粋な心に多く触れることができたといい、「稲垣足穂の映像化には純粋さが必要だと思った。学生たちと一緒にやることで、実現できるんじゃないかと思った」と語った。また全国一斉公開ではない京都発の上映の試みについては、「日本映画の初期は、映画は各地を巡業して上映されていました。その形に戻そうという試みをしています」と話した。
永瀬さんは、「世界遺産で映画を上映できる、というおそらく世界初の試みに立ち会えたことが光栄であり、幸せです」と語った。作品については「あらゆるところに林海象マジック化が炸裂している映画です。撮影現場も毎回新たな発見があり、楽しかった」と話した。
「光栄な機会です」と語る永瀬さん |
江美留少年を演じた土村芳さんは「観る人がそれぞれ何かを感じる作品、そして何度観ても毎回違うことを感じることができる作品になっていると思います。ぜひ多くの方に観ていただければ」と呼びかけた。
巨大ポスター前に関係者らが集合 |
会見後は、上映前に奉告祭を実施。手水で手を清めた林監督、永瀬さんらが神職者に導かれ、同作の奉納上映の実現と、今後の飛躍を祈念した。
奉告祭に取りかかる関係者ら |
その後、夕暮れを待って、境内に設立されたスクリーンで『彌勒 MIROKU』の上映がスタート。今回は神様だけが観るスクリーンと、関係者が観るスクリーンの2枚を用意した。多くの関係者たちが、神社の境内で味わう新たな映画体験に酔いしれた。
奉納上映の様子 |
映画『彌勒 MIROKU』は、通常の映画バージョンと、効果音とセリフ以外の音響を抜き出し、代わりに生演奏を合わせる「フィルムオーケストラバージョン」の2種類で公開。さきに「フィルムオーケストラバージョン」が、7月20日(土)の京都文化博物館を皮切りに京都・神戸で上演される。
■サイト
『彌勒 MIROKU』公式サイト
http://0369.jp/
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