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第11章 スタッフ奮闘編「俺の責務を全うする!」3/4

今回は、映像やイラストなどのビジュアルデザイン・制作を担っているスタッフを紹介する。
本業はアニメーション制作・映像編集の仕事に携わっている、小川泉さんだ。

小川さんも、塚口サンサン劇場での本来の仕事は映写だ。
その勤務の合間に、劇場オリジナルの告知映像からマナームービー、前説パフォーマンスの際の背景動画などの映像を制作。
さらにはイラスト・デザインも手がけ、他のスタッフたちと一緒に、劇場の様々な広報物をつくりあげている。

サンサン劇場で最初に映像を作ったのは、2016年6月
『KING OF PRISM by PrettyRhythm』の応援上映に合わせて、ロゴが動くムービーを制作した。そのあと、平成ガメラ三部作の告知映像などを皮切りに、様々な映像を作っていくことになる。
戸村さんから依頼されることもあるし、小川さんが提案することもあるという。

第6章の「前説芸人編」で紹介した、数々の前説パフォーマンスの後ろで流れる映像も、小川さんの手によるものだ。時には戸村さんと打ち合わせや練習・リハーサルを行いながら、イベント当日に向けてブラッシュアップを行っていった。
いままでで一番手間がかかったのは、『グレイテスト・ショーマン』の前説映像だという。戸村さんの動きに合わせないといけないため、タイミング合わせや練習も必要だったからだ。
『ベイビー・ドライバー』の前説ラップも戸村さんと作り上げていったし、毎週のように応援上映やマサラが行われていた時期は、目の回るほどの忙しさだったが、それぞれの映像を高いクオリティで仕上げ、ファンを喜ばせた。


『グレイテスト・ショーマン』の前説映像

そんな小川さんがメインを担ったイベントが、いくつかある。
中でも思い出深いものの1つは、取り壊しになる前の「塚口さんさんタウン3番館」(サンサン劇場の近くにあった商業ビル)を記録するためのコマ撮りアニメの企画だ。2017年10月に実施し、10代から70代までのたくさんの参加者と一緒に「写真のパラパラ漫画」を制作。劇場で上映した。

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主催:あまがさき環境オープンカレッジ

もう一つ印象的だったのは、2020年6月に実施した「ロトスコープ、やらないか」という企画。
当時公開されていたアニメーション映画『音楽』にあわせて、同作と同じく「ロトスコープ」というアニメ制作技法を体験できるコーナーだ。ロトスコープとは、実写映像をまず撮影し、それを1コマ1コマトレースすることでアニメーションにする、というものだ。

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もともと自身のアニメーション制作でもロトスコープを活用していることもあり、今回の企画を主導して実施。気軽にロトスコープが体験できるイベントとして好評を博した。
(完成した動画は、以下の形で劇場公式YouTubeチャンネルにアップされている)


そして他にも、劇場のさまざまなビジュアルのデザインを担当。
サンサン劇場には「うーはーくん」というキャラクターがいるが、それを活用した重低音ウーハー上映の時に使用される「うーはーくん」映像や、Tシャツなどを制作。
(うーはーくんは、岩浪音響監督が2017年に来館する直前に手描きでつくったキャラクターで、そのあと小川さんが正式デザイン化した)
さらには「ホスピタリティは高く、インテリジェンスは低く」のモットーが記されたTシャツなど、手がけたグッズデザインは数多い。
塚口サンサン劇場の広報物によく登場する「サンサン太郎」のイラストも現在は小川さんが描いているし、近隣の幼稚園・保育園に配布する割引券の裏に載せる「まちがいさがし」を作ったりもしている。

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そんな小川さんが、塚口サンサン劇場で映像制作を行っていてうれしかったのは、「お客さんの反応がダイレクトに感じられる」ことだそうだ。
普段の映像の仕事では見た人の反応がわからないことが多いが、ここでは作った映像を自分たちで上映でき、お客さんが喜んだり驚いたり、前説の場合はテンションが上がったり、というのを直接見ることができる。
「テレビ放送や映像配信では感じられない喜びがあります」
小川さんはそう話してくれた。
そんな小川さんの活躍があったからこそ、サンサン劇場の前説は高いパフォーマンスを提供できたし、広報物・告知映像が興味をひき、グッズが注目される、という好循環を生み出していると言えるだろう。