神戸の元町映画館では、8月28日(土)からサイレント映画のピアノ伴奏つき上映「SILENT FILM LIVE」が開催される。
これまで2階のイベントルームでイベントとして実施されてきたがコロナ禍で中止となっていた。しかし今回は、1階のシアターに場所を移し、毎日1作品、短編・長編のサイレント映画をピアノの生演奏と共に紹介していく。
演奏するのは、サイレント映画の楽士・鳥飼りょうさん。
作品のセレクトも担当し、「コメディはもちろん、ホラーからメロドラマ、クールな実験映画にニュース映画まで多彩なジャンルを組み込みました。面白さは保証します!」と熱く語る。
そんな鳥飼さんと元町映画館支配人の林未来さんが「メディア向け体験上映会」の後にトークを展開。「SILENT FILM LIVE」についての意気込みを語った。
サイレント映画専門の楽士・鳥飼りょうさん(右)と元町映画館支配人の林未来さん(左)
もともとこのイベントを始めたきっかけは、ピアノの生演奏が付くというライブ感のあるスタイルのおもしろさだったという林さんだが、開催していく中で「顔の表情や体の動きで、言葉を使わずともセリフが伝わるようにできている。これは、いつの時代、どこの国の、誰がみても伝わるということ。これはすごいなと思うようになった。映画のおもしろさの原点が詰まっている気がしています」と言う。
映画館ではかかることの珍しい短編作品についても「本当に観ていて楽しいです。短いながらに個性と物語がちゃんとあって。音楽のチカラもすごく大きいですよね」と感想を述べた。
8/28から始まる短編ウィーク
鳥飼さんも、「サイレント映画は、なかなか最初の一歩を踏み出せない人も多いと思うんです。サイレント映画といえばチャップリンと言われることも多い。でも、僕がサイレント映画により深く入り込んだきっかけは、当時の役者さんが声を出さずして顔の表情だけで見せる演技に魅せられたから。その表現方法こそサイレント映画の神髄の一つではないかと思ったんです」と熱く語った。
だからこそ「初めて体験する人はもちろん、映画好きだけどサイレント映画はノータッチ、という方にもぜひ観ていただきたい。劇場の大きなスクリーンで体験すると、作品の魅力にはまってもらえると思います」と鳥飼さん。
林さんも「ミニシアターに来られるお客様は、1日に2本、3本観る方も多い。来たついでに興味があればほかも観て行こうという方が多いですね」と言うと「ぜひセットで観て、面白ければ長編に触れてもらえるとうれしい、それこそミニシアタ―だからこそできる楽しみ方では?」と鳥飼さんが付け加えた。
9/18から実施予定の長編ウィーク
ちなみに映画は1895年に生まれ、1920年ごろには今回上映するようなさまざまな作品が生まれている。鳥飼さんは「当時のサイレント映画は、若者が熱狂した新しい表現方法。これは、現代のYouTubeとよく似ています。才能にあふれた若者たちが全力で作った熱量を感じてもらえるといいなと思います」と締めくくった。
映画が日本に初めて上陸したのは1896年。神戸・花隈の神港倶楽部でエジソンが発明したのぞき窓式映写機「キネトスコープ」が披露されたのが始まりとされている。その「映画上陸の地」から一番近い「元町映画館」で、歴史を感じながら当時のスタイルのまま楽しめる貴重な2週間を見逃さないで!
詳細情報 |
■上映日程 ・短編ウィーク 8/28(土)~9/3(金) 各日12:30~ ・長編ウィーク ■料金 ・長編ウィーク ■映画館 ■サイト |