本をテーマに読書愛好家が集い語り合うイベント「読書会」を主催する団体・猫町倶楽部が、その映画版であるイベント「シネマテーブル」を3月20日に大阪で実施。大阪では初開催となったが、40名以上が参加した。お題の映画は話題作『ラ・ラ・ランド』。
猫町俱楽部は2006年より「読書会」という、開催ごとに指定される課題図書を参加者が読了後に集結し内容の考察、意見を交換し合う場を提供してきたコミュニティ。ビジネス書、文学書など多様な書物をテーマに定期的に実施し、派生して読書会の映画版といえる「シネマテーブル」もこれまで名古屋、東京で開催してきた。
「シネマテーブル」でも読書会と同様のルールで、事前に1本の課題映画を提示、参加者は課題作を鑑賞した上で、その内容について参加者同士で自由に話し合うことを楽しむスタイルのイベントとなっている。
今回の会場である大阪・西大橋のカフェ・ラポーティアには、受付時間になると続々と人が集まってきた。参加人数は40名以上。今回の参加者のうち半数は猫町俱楽部のイベント初参加だという。来場していた猫町倶楽部主催・山本多津也さんに、大阪でのシネマテーブル開催のいきさつを伺った。
「読書会は現在、各都市で定期的に開催されるほど広まってきています。こういった趣味を共有し合う場は書物に限らず、様々な媒体を通じても開催できます」と山本さん。シネマテーブルという企画の発足について、「映画という媒体は、映像、音楽など多様な要素が2時間半程度にぎゅっと凝縮された芸術です。読書会とはまた違った角度で語り合えるテーマになるため、既に開催実績のある名古屋や東京でも人気の会です」と語る。
大阪での開催が実現したことについては「大阪でも、と以前から考えていました。読書会は大阪で何度も開催されていて、普段そちらに参加してくださっている方も今回お越しいただいています。逆に今回初参加の映画好きな方々が、猫町俱楽部の別の会にも興味を持ったり、大阪でももっと学びの場としての輪を広げていけると嬉しいですね」と期待を寄せていた。
定刻の18時にイベントがスタート。数名のグループに分かれてテーブルを囲み、和やかに自己紹介が行われた後、早速『ラ・ラ・ランド』についてのトークが始まった。ミュージカル映画はこれまでどんなものを観たことがあるか、出演者のエマ・ストーンを日本の女優に例えるなら……など、話題の切り口はグループによって様々だ。グループごとに過去の猫町俱楽部イベントに参加経験のある有志サポーターが協力しており、話し合うテーマの提案や進行の確認など、初めてイベントに参加する人々に対しても安心しておしゃべりに集中できる配慮がなされていた。
時間が進んでも、各テーブルでは途切れることなくおしゃべりに花が咲いていた様子。ラストシーンの考察を行っているグループにいた、猫町倶楽部のイベント初参加の女性に参加した感想をたずねてみると「今回のような映画好きが語り合う場所というものをなかなか知る機会が無かったので、大阪で開催されると情報を見た時に興味を持ちました。色んな意見が出て、同じシーンでも人によってとらえ方がまるで違い、話が尽きないんです。また開催されるのであれば参加したいです」と笑顔で答えてくれた。
もう一人、こちらは過去同団体の読書会に参加経験がある男性からは「読書会では文章から各々が想像する世界や考察について話すのが楽しいんですが、映画だと俳優や音楽、衣装など話題が色んな所に移るのが普段と違い、面白いですね」とコメントが。シネマテーブルならではの魅力を語っていただいた。
1時間半の間、存分に各グループで『ラ・ラ・ランド』について語らった後、今回のイベントは締めくくられた。その後、話し足りない人々は同会場で交流会を実施する姿も。すっかり打ち解けた映画仲間の姿が見受けられた。
昨今はSNSで気軽に映画の感想を送受信することができるが、今回のイベントのように、テーブルを囲んで一つの作品についてとことん議論を交わすということも、映画の楽しみ方の一つと言えるだろう。
大阪シネマテーブルは今後も開催が予定されている。次回は4月19日(水)、同会場にてアカデミー作品賞受賞作として話題をさらった『ムーンライト』を課題作として実施される。詳細は猫町倶楽部HPにて。
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